研究課題/領域番号 |
25460949
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 貴文 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378041)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10215501)
前田 修 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20378053)
渡辺 修 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378059)
尾崎 信暁 名古屋大学, 総合保険体育科学センター, 准教授 (70378082)
大宮 直木 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (00335035)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Gcggfp/gfp (KO)マウス / 絨毛 / DSS腸炎の改善程度 |
研究実績の概要 |
内因性のGLP-2の役割を検討するために、GLP-2が欠損する状況での腸炎の回復過程を検討した。グルカゴン遺伝子にGfp遺伝子が挿入され、GLP1及び、GLP2が発現していないことを確認できたマウス(Gcggfp/gfp (KO)マウス)を使用した。1.通常の段階で、GLP-2欠損マウスの絨毛について、十二指腸、上部、中部、下部小腸でWTマウスと比較検討した(n=5 each)。絨毛の高さは、KOマウスは十二指腸、上部、中部、下部小腸ともに低い傾向がみられたが、有意ではなく、クリプト、陰窩の深さについては、差は認められなかった。2.DSS腸炎の改善程度を、Gcggfp/gfp (KO)マウスとGcggfp/gfp (WT)マウスで比較検討した。 DSS4日間投与した際の体重変化は、Day12-18までKOマウスの回復が遅延している傾向がみられたが有意差は無かった。DAIインデックス(便の性状、血便の程度、体重変化を総合した臨牀スコア)ではも、KOマウスの回復が遅延している傾向がみられたが有意差は無かった。十二指腸と回腸末端の病理学的スコアでは、Day21において、KOマウスでは21日目も炎症が残存している傾向がみられた。直腸の病理学的スコアでは、同様にDay21において、KOマウスには炎症が残存していた。以上より、GLP-2が欠損している状況において、腸炎の回復過程が完全に阻害されることはないが、治癒が遅延する傾向がみられた。このことから、GLP-2というインクレチンは、腸炎の回復に必須のものではない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DSS腸炎の作成が難しく時間を要した。 Gcggfp/gfp (KO)マウスとGcggfp/gfp (WT)マウスで同じ条件で観察する必要がある。腸炎が強すぎて、マウスが生存できなかったり、また、炎症が弱くて十分な腸炎ができないなど、実験に適したDSS腸炎の作成に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
1.Gcggfp/gfp (KO)マウスとGcggfp/gfp (WT)マウスでは、絨毛の高さは、KOマウスは十二指腸、上部、中部、下部小腸ともに低い傾向がみられたことについて、有意なものではないかさらに確認する。 2.DSS腸炎の改善程度を、Gcggfp/gfp (KO)マウスとGcggfp/gfp (WT)マウスで比較検討したところ、DSS4日間投与した際の体重変化は、Day12-18までKOマウスの回復が遅延している傾向がみられたことについて、有意なものではないかさらに確認する。 3.DSS腸炎の改善程度を、Gcggfp/gfp (KO)マウスとGcggfp/gfp (WT)マウスで比較検討する過程で、DPP-4阻害薬投与が及ぼす影響を比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験で、DSS腸炎作成の過程で、適当なDSS濃度の調整が間に合わず、十分な実験ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
適当なDSS濃度によるDSS腸炎を起こしたマウスに対し、多くの実験を続けていくため、動物実験試薬、分子生物学試薬の消耗品、ならびにマウス購入、繁殖飼糧に使用する。
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