研究課題
脂肪摂食により上部小腸にあるI細胞からコレシストキニン(CCK)が分泌される。CCKは膵酵素の分泌、胆嚢収縮などの生理反応を引き起こし、脂肪の消化と吸収において重要な働きを担っている。I細胞のモデルであるSTC-1細胞において、脂肪酸によるCCK分泌は細胞内Ca2+濃度の上昇を伴い、脂肪酸の炭素数に依存する。この反応はI 細胞の脂肪酸受容体の一つであるGPR40 を介していると考えられている。しかし、小腸粘膜上の環境は胆汁酸、胃酸分泌や膵臓の重炭酸分泌によるpH の影響等で絶えず変化しており、GPR40 を介するシグナルが修飾される可能性がある。脂肪酸の存在様式(ミセル化とサイズ、イオン化)の変化による間接的な作用と直接作用の両者が推定される。本研究は小腸陰窩内環境が脂肪酸のセンシングメカニズムに与える影響について検討したものである。昨年までにマウスGPR40を安定発現させたPC12細胞(PC12‐mGPR40)を用いて、脂肪酸(炭素数12)の細胞内カルシウムのセンシングメカニズムに胆汁酸が影響を与えることは確認している。腸内環境において脂肪酸と胆汁酸はミセルを作っているが、この脂肪酸と胆汁酸のミセルの大きさは脂肪酸のセンシングメカニズムに与える影響があるかどうかを検討するために、光散乱を用いて、異なるpHでの脂肪酸と胆汁酸とのミセルの大きさを測定した。腸内環境の条件は胃酸や重炭酸の影響を受けるため、pHを変化させて細胞内カルシウム濃度を検討したが、各pHにおいて脂肪酸と胆汁酸のつくるミセルの大きさに一定の傾向は認められなかった。PC12‐mGPR40を用いて、炭素数12よりも長い脂肪酸(炭素数18)についても細胞内カルシウム濃度について検討した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.
巻: 309 ページ: G260-G269
10.1152/ajpgi.00015.2014.