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2014 年度 実施状況報告書

MCP-1およびテネイシンCによる造血細胞由来癌関連線維芽細胞の動員と大腸癌進展

研究課題

研究課題/領域番号 25460951
研究機関三重大学

研究代表者

桝屋 正浩  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30281083)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード造血細胞 / 大腸癌 / MCP-1 / 癌関連線維芽細胞 / AOM/DSS
研究実績の概要

EGFP-transgenic miceから分離した全骨髄細胞5 x 10e6個を10 Gy放射線照射後のC57BL/6J miceの尾静脈から移植して骨髄キメラマウスを作成。移植後2ヶ月以上経過してからAOM/DSS(1% DSSを含む水を7日間投与後2週間蒸留水を投与することを1サイクルとして3サイクル実施)傷害を与えるモデルを用いて、降圧薬として使用されているangiotensin II type 1 receptor blocker (ARB)を投与することにより、大腸の炎症や腫瘍形成がどのように変化するのかを観察した。ARB投与群では、1%DSSによる傷害開始時から3サイクル投与終了後12週目までの全観察期間にわたりARBを投与した。そして、臓器を摘出して大腸の長さ、腸管内腫瘍の数とサイズをARB非投与群のマウスと比較検討した。
ARB投与群では1%DSS投与1サイクル目の体重減少は非投与群より軽度であったが、2サイクル目以降は非投与群より有意に体重が減少した。しかしながら、大腸長の短縮はARB投与群が非投与群に比して軽度であった。また、直腸領域に発生する腫瘍(腫瘍はほとんど直腸に発生した)の数も非投与群に比して少なかったが、出現した腫瘍のサイズにはあまり差違は無かった。AOM/DSS傷害後の腸管の粘膜下層には血液細胞由来(EGFP陽性)でありながらCD45抗原が陰性の細胞が出現することがこれまでの解析から判明していた。この細胞はcollagen Iやα-smooth muscle actinが発現することから線維芽細胞および筋線維芽細胞であると推測された。これらの細胞はARB投与により減少することが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AOM/DSSにより引き起こされる大腸線維化(大腸長の短縮で判断しただけで、まだSirius red染色などでは確認できていない)や大腸腫瘍の形成に及ぼすARBの抑制効果は確認できたが、炎症部位に存在する細胞の詳細な解析はまだ不十分である。炎症部位へはchemokineなどの液性因子の関与が推測されており、ARB投与群と非投与群でのマウス血漿が保存できているがこれに関してもまだ解析できていない。

今後の研究の推進方策

AOM/DSS傷害マウスの粘膜下組織に存在するEGFP陽性細胞に注目して、ARB投与群と非投与群を比較するとCD45陰性細胞の減少が認められたが、CD45陽性細胞ではどの分画(リンパ球、好中球、単球/マクロファージ)の細胞に変化があるのかは十分検討出来ていないので、詳細な細胞分画の解析を行う。その際には、組織学的な解析に加え、大腸粘膜下細胞を分離してFACS解析も行う。また、分離保存してあるマウス血漿の解析から、どのような液性因子(chemokine中心に)が末梢血から傷害腸管への血液細胞侵入に影響するのかを検討する。さらに、tenascin CがchemokineであるMCP-1のregulatorとの報告があるので、EGFP miceから分離した全骨髄細胞を移植したtenascin C knockout miceを解析する。これらの解析結果をまとめることにより傷害腸管への血液細胞浸潤に関与する因子を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] フルダラビン・リツキシマブ併用療法ガ奏効したBing-Neel症候群2014

    • 著者名/発表者名
      永春圭規、宮崎香奈、今井 裕、田村麻子、海野 啓、藤枝敦史、杉本由香、山口素子、桝屋正浩、片山直之
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 55 ページ: 2423-2428

    • DOI

      doi: 10.11406/rinketsu.55.2423.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interleukin-17 induces an atypical M2-like macrophage subpopulation that regulates intestinal inflammation2014

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa K, Seo N, Torii M, Ma N, Muraoka D, Tawara I, Masuya M, Tanaka K, Takei Y, Shiku H, Katayama N, Kato T
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9 ページ: e108494

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0108494

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Tacrolimus-induced left ventricular apical hypertrophy in a patient with post-allogeneic hematopoietic stem cell transplantation2014

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi T, Ino K, Dohi K, Monma F, Nakamori S, Fujieda A, Yamada N, Nakamura M, Masuya M, Katayama N, Ito M
    • 雑誌名

      Int J Cardiol

      巻: 177 ページ: e22-e24

    • DOI

      doi: 10.1016/j.ijcard.2014.07.171

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Splenectomy increases the number of circulating hematopoietic stem/progenitor cells in patients with hepatitis C virus-associated liver cirrhosis2014

    • 著者名/発表者名
      Masuya M, Shiraki K, Sugioto K, Yamamoto N, Yoneda M, Kanayama K, Nishikawa K, Ino K, Tawara I, Ohishi K, Sakurai H, Usui M, Shiraishi T, Isaji S, Takei Y, Katayama N
    • 雑誌名

      Hepatol Res

      巻: 44 ページ: E376-E385

    • DOI

      doi: 10.1111/hepr.12319

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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