研究課題
EGFPマウス由来骨髄細胞を移植したLy5.1マウスにAOM/DSS傷害を与えてからの大腸炎の状況・大腸の長さ・腫瘤形成状況をアンギオテンシン受容体阻害剤(ARB)の有無別で経時的に観察するとともに、大腸組織の凍結切片を蛍光免疫組織染色法で、粘膜下(lamina propria, LP)の細胞分画をFlow cytometry法で解析した。DSSによる傷害進行に従い大腸炎の程度が強くなったが、ARB併用群では体重減少はやや増強するものの、炎症所見は改善した。そのことを反映して、ARB併用群では大腸の短縮が有意に軽減した。3サイクルのDSS傷害後5週、8週、12週と時間経過に伴い腫瘍数が増加したが、ARB併用群ではその数は抑制された。大腸組織の凍結切片を抗CD45抗体とTOPRO3で染色後、蛍光顕微鏡で解析した。造血細胞由来細胞はEGFP陽性であるので、この細胞のCD45抗原発現を検討した。3サイクルのDSS終了後5週、8週、12週と経過するとEGFP陽性CD45陰性細胞が増加した。12週の時点で、腫瘍形成部と非腫瘍部においてEGFP陽性細胞数を検討すると、腫瘍形成部でCD45陰性細胞が有意に多かった。これは骨髄由来CD45陰性細胞が腫瘍形成に影響していることを示しているものと考えられる。LP細胞分画を大腸組織から分離し、各種抗体で染色後Flow cytometryを用いて解析した。LP細胞数はDSS傷害の進行に伴い増加したが、ARB併用群ではその増加が抑制された。DSS傷害の進行とともにEGFP陽性CD45陰性collagen-I陽性の線維細胞も増加し、それがARB併用群では減少した。従って、AOM/DSS傷害に伴い、骨髄由来の線維細胞が傷害部位に動員され、大腸の線維化や腫瘍形成に影響する可能性が示された。また、この動員はARBの併用で抑制されることも判明した。
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