研究課題/領域番号 |
25460952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 和彦 九州大学, 大学病院, 助教 (00274449)
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研究分担者 |
伊原 栄吉 九州大学, 大学病院, 助教 (80612390)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / サイトカイン / シグナル伝達 |
研究概要 |
マウス脾臓より単核球を分離し、CD4+ T細胞分離キットを用いてCD4+ T細胞を分離した。分離した細胞をin vitroで抗CD3抗体+抗CD28抗体で刺激し、7日間培養した。マウスT細胞におけるsmad7発現誘導因子の同定を目的として、7日間の培養終了前にIFN-γ(5ng/ml)、TNF-α(10ng/ml)、TGF-β1 (5ng/ml)、IL-13 (20ng/ml)、IL-17 (50ng/ml)、IL-1β/IL-1F2(10ng/ml)、IL-6 (20ng/ml)をそれぞれ添加した。細胞から蛋白を抽出し、SDS-PAGEを行い、抗smad7抗体を用いたウエスタンブロットを施行した。Smad7蛋白発現レベルはサイトカイン添加により明らかな変化を認めず、これまでの所、smad7発現を誘導するサイトカインを認めていない。 ヒト潰瘍性大腸炎患者の大腸内視鏡下生検サンプルからRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNAを作成。Smad7等のmRNA発現レベルを定量的PCRで解析した。smad7 mRNAの発現レベルは潰瘍性大腸炎と対照疾患で有意差を認めなかった。また、Smad7発現レベルは潰瘍性大腸炎患者の中でステロイド抵抗性/依存性の難治例と非難治例で明らかな差を認めなかった。また、smad7が抑制するTGF-β受容体シグナル経路に関して、リガンドであるTGF-β1とsmad2/3をリン酸化するTGF-βI型受容体のmRNA発現レベルを検討した。TGF-β1発現レベルは潰瘍性大腸炎で対照疾患と比較して高く、また、TGF-β1/TGF-βI型受容体の発現比が潰瘍性大腸炎で対照疾患と比較して有意に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスリンパ球におけるsmad7発現誘導サイトカインが同定できておらず、研究の進行度は当初の予定より遅れている。しかし、実験系は確立しているため、今後は必要な方策が十分とれると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの所、検討したサイトカインにsmad7発現誘導能を認めていないが、サイトカイン添加のタイミング、T細胞刺激の回数の変更、サイトカインの組み合わせ等によりsmad7発現が誘導される可能性もあり、引き続き、現在の系で条件を変更しつつ解析を進める。 Smad7発現誘導サイトカインを同定できない場合は、smad7 siRNAなどsmad7発現抑制法に切り替えて研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画を予定通り進めたが、若干の残金が生じた。 サイトカインやマウスの購入費として使用する。
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