研究課題
azoxymethane (AOM)関連発癌に対するMSCのchemoprevention作用は,新しい2つの機序すなわち,①O6メチルグアニン(O6MeG)付加体を減らすこと,②acute apoptotic response of genotoxic carcinogen (AARGC)を免れた細胞をG1期停止やアポトーシスに導くこと,によりイニシエーションを解除した.AOM/DSS炎症発がんモデルでは,MSCは腫瘍数を減らすが,腫瘍サイズに影響を与えなかった.ACF形成モデルでは,MSCはACF形成を抑制した.以上より,MSCは発がんのイニシエーションを複数の作用点から早期に抑制した.齧歯類では,AOM暴露後8時間に大腸上皮細胞がAARGCに陥る.これは変異負荷を解消するために,生体に本来備わる発がん予防機構である.MSCがメチルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)を活性化させ,O6MeGを減じた結果,見かけ上AARGCが抑制された.ラット腸上皮細胞株IEC-6とMSCの共培養により,O6メチルグアニンの程度に応じて,MSCはIEC-6の増殖を抑制し,G1 arrestやアポトーシスを誘導した.この細胞増殖抑制作用は,TGF-betaを介したパラクライン作用であった.能動的なCpGアイランドの脱メチル化には,いくつかの酵素が関与するが, 最終年度は,activation-induced deaminase (AID), ten-eleven translocation (TET) に注目した.TET1-3に関しては,合成siRNAによる一過性のKD株を樹立した.次にTET単独あるいはAID(KD安定株)との組み合わせによるダブルKD(DKD),トリプルKD(TKD)およびクアドラKD(QKD)を樹立した.MGMTプロモータにおけるDNAメチル化レベルをpyrosequencerにより定量的に解析した.残念なことにTET/AIDがこの系においてMGMT発現とは無関係であることが判明した.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
PLoS ONE
巻: 11 ページ: e0149327
10.1371/journal.pone.0149327
Medical Science Digest
巻: 2 ページ: 65-68
巻: 10 ページ: e0137801
10.1371/journal.pone.0137801