研究実績の概要 |
1.MSC-dependent angiogenesis (MSC-DA) におけるten eleven translocation 1-3 (TET1-3)/activation-induced cytidine deaminase (AID)発現の意義,2.MSC-DA以外のMSC依存性腫瘍増殖機構の解明のテーマをそれぞれ前期および中後期に重点的に研究した.申請者は,これまでにMSCがある種のヒト大腸癌の異種移植腫瘍の生着・増殖を促進することを示した. 1.TET1-3おのおの単独に合成siRNAによる一過性のKD株を樹立した.次にTET単独あるいはAID(KD安定株)との組み合わせによるダブルKD(DKD),トリプルKD(TKD)およびクアドラKD(QKD)を樹立した.その後CXCL12プロモータにおけるDNAメチル化レベルをpyrosequencerにより定量的に解析したが,TET/AIDがこの系においてDNA脱メチル化酵素として作用しなかった. 2.MSC依存性大腸癌細胞株COLO320および非依存性株HT-29とMSC共培養により発現が亢進するMSCニッチシグナルを検討したところ,Vcam1, Cxcl12, Cdh1, Jag1およびCcl5が同定された.これらのニッチシグナルのうち,E-cadherinのみが細胞増殖を抑制し,その他はすべて細胞増殖を促進した.さらに,MSCは,HT-29に間葉上皮転換(MET)を誘発し,増殖に対して負に作用した.MSC依存性の機序を検討するために,COLO320においてVEGF過剰発現細胞およびCXCL12KD細胞を樹立しxenograftを作成し検討したが,これらの因子単独ではMSC依存性を説明し得なかった.
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