研究課題/領域番号 |
25460963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
竹田津 英稔 久留米大学, 医学部, 助教 (80352144)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / ドラッグデリバリーシステム / シゾフィラン / アンチセンス |
研究概要 |
今回新規デリバリーシステムであるシゾフィラン(SPG)を用いたアンチセンスの開発および治療効果についての検討を行った。平成25年は、1.SPG-antisense TL1A複合体の作製を進め、さらに安定性や抑制効果を高めるためSPGとantisense TL1Aとの複合体化率をあげる方法、2.マクロファージ、樹状細胞におけるSPG-antisense TL1A 複合体取り込み効率の向上、3.複合体によるTL1A の抑制効果を高める、以上の内容について検討を行う予定であった。しかし1についてTL1Aを十分抑制するようなアンチセンス配列が確定しないため、SPG-antisense TL1Aを使用した取り組みを行うことができなかった。本年度はTL1Aのアンチセンス配列の作製に加え、すでに配列の分かっているantisense TNF-alphaを使用し、SPGとantisense TNF-alphaの複合体化率の改善させるため、antisense末尾にあるpoly Aの配列数による複合体化率の変化、SPGを螺旋から1本鎖にさせるアルカリの濃度や他の溶液に変えることなどで、複合体化率の改善を図った。2,3についてはantisense TNF-alphaを使用し、複合体の作製とその細胞への取り込みや抑制効果を高めるための実験を行った。複合体の抑制効率および細胞への取り込みの確認のため、腸炎マウスの腸管固有粘膜CD11b 陽性マクロファージを分離し、細胞レベルでのSPG-antisense TNF-alpha複合体の作用について検討を行った。抑制効率についてはSPG-antisense TNF-alpha複合体をマクロファージに添加し、TNF-alphaの産生が抑制されることを確認し、細胞の取り込みについては複合体をFITCで標式し、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーにて確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TL1Aに対するアンチセンスを作製し、TL1Aの抑制効果の検討を行っていたが、十分な抑制効果が得られなかった。アンチセンス配列の設定に対し時間がかかっており、TL1Aを主体とした実験自体の進行に遅れが生じている。しかし、新規デリバリーシステムの特徴はマクロファージや樹状細胞から分泌される様々なサイトカインを抑制することができるため、TL1Aと並行しながらTNF-alphaなどの炎症性サイトカインをターゲットとすることでドラッグデリバリーシステムの開発を進めていくことができている。今後は全身投与だけでなく、注腸や経口投与による治療法の確立を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、TL1Aのアンチセンス配列の検討を行う一方で、配列の分かっているTL1Aに対するsiRNAの利用と、すでにアンチセンス配列が分かっているTNF-alphaにて、複合体の作製、複合体の複合体化率の向上、動物実験による治療効果の検討を行なっていく。antisense TL1Aの作製に時間を要しているものの、いかなるantisenseの配列においても安全でかつ、十分に効果が認められるような複合体を作製する方法を確立することで、新しいドラッグデリバリーシステムとしてのさらなる活用性を見いだせるものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
理由は2つあり、まず1つめはTL1Aのアンチセンス配列の確定に対し時間がかかっており、実験自体の進行に遅れが生じている。2つめは、以前より他の研究のために使用していた細胞分離用の抗体や磁石ビーズ、複合体作製に必要な溶液を使用していたため本年度の新規購入の必要性がなかったことが挙げられる。 今後は、抗体、細胞分離用磁石ビーズ、さらには複合体作製用の溶液などが必要となるため、本年度に使用予定であった分の費用を当てる予定である。 TL1Aに対するアンチセンスの配列決定を進めていきながら、TL1Aに対するsiRNAの利用と、すでにアンチセンス配列が分かっているTNF-alphaにて実験を進めていく。平成26年度分に関しては予定通り、マウスに対するin vivoの実験が中心となるため、実験用マウスの購入や管理、抗体の購入に使用する。
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