研究課題
大腸癌および膵癌の切除材料を用いて、Conditional Reprogramming法(Xuefeng Liu, Am J Pathol 180, 2012)による初代腫瘍細胞の継代・増幅を試みた。腫瘍組織の処理は、大阪成人病センターの井上らの研究グループが考案したcancer tissue-originated spheroids (CTOS)法に準じて、間質混入の少ない上皮細胞間の細胞接着が維持されたorganoidを分離し、これを不活化したfeeder細胞上に播種・継代する2段階方式をとった。継代中の細胞よりゲノムDNAを抽出し、次世代シーケンサ(Ion Torrent PGM)を用いて代表的ながん関連遺伝子の変異プロファイルを得た。driver変異をはじめとする比率は継代において変化することから、これら培養細胞が複数の異なるクローンから構成されることが想定され、heterogenoityを包括した培養細胞であると考えられた。さらに、これらをNOGなどの免疫不全マウスへ移植することで、細胞を採取した原発巣と同様の組織構築が得られ、in vivoにおける微小環境が忠実に再現しうることが示された。すなわち、このようにして得た患者初代腫瘍細胞ならびに増幅細胞群は、少なくとも特定の培養環境下で、継代数を一定レベルに制御することで、がん個別化医療におけつ癌抗原、あるいは薬剤感受性検査のため優れたリソースとなる可能性が示唆された。
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Pancreas
巻: xx ページ: xx-xx
Pol J Pathol
Internal Medicine