研究課題
HBV、HCVをはじめとした各種慢性肝疾患に併発した肝細胞癌患者より、末梢血単核球、肝臓浸潤リンパ球、腫瘍内浸潤リンパ球を単離し、PD-L1陽性、ミエロイド由来抑制細胞(MDSCs)頻度を多染色(7-カラー)フローサイトメトリーとFlowJo7.6ソフトを用いて解析した。結果、肝細胞癌患者の末梢血において、PD-L1陽性MDSCsの頻度は健常者と比較して有意に増加していた。またStageが進むとその頻度は増加していた。肝癌患者の予後を比較したところ、PD-L1陽性MDSCsが多い群は低い群と比較して有意に無再発生存期間が短いことが分かった。既存の腫瘍マーカーとの比較を現在行っている。現時点で、AFPとの相関関係はみられず、独立した因子として使用出来る可能性がある。また、プレリミナリーではあるが治療介入によりMDSCsが有意に減少することが分かった。in vitroの解析では肝癌細胞株とのトランスウェルを用いたPBMCs培養で有意にMDSCsが増加することが分かった。既知のMDSCs分化誘導因子を検討したところ、VEGFとM-CSFが重要な因子として同定した。現在中和抗体を用いた阻害実験を施行中である。MDSCsへの分化誘導がおこる前駆細胞の候補をみつけるため、FACS Aria 2を用いて解析を行っているが、現時点ではimMCsが有力な候補として同定された。現在HBV複製肝細胞癌株においてMDSCs誘導因子の確認を行っている。
2: おおむね順調に進展している
さらに症例数を増やして肝癌細胞患者の解析を施行した結果、健常者と比較して有意にMDSCsの頻度が高いことが明らかとなった。また、肝癌患者の無再発生存期間にもMDSCsの頻度が重要であることが分かった。治療介入によりMDSCsの頻度が有意に低下することも確認された。また、MDSCsへ分化誘導する前駆細胞の同定、また誘導候補因子が同定されておりここまでの達成度は概ね順調であると思われる。
更に検討肝細胞癌患者症例数を増やすとともに、背景肝疾患による影響を詳しく解析していく。また、各種治療方法によってMDSCsの減少程度が異なるかについても確認を行っていく。また、MDSCsの分化誘導因子として有力なVEGFとM-CSFの検討を進めているが、患者血清においてこれらの因子の測定も行い、MDSCs頻度との相関を確認する。また、バイオマーカーとしての使用可能性について前向き検討の準備を進める。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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