研究課題
我々は肝細胞癌患者からPBMCsや腫瘍浸潤リンパ球を分離し、多染色フローサイトメトリーを施行することで、肝細胞癌患者の末梢血や腫瘍中にはPD-L1+MDSCsが有意に増加しており(p<0.001)、これは肝細胞癌の進行に伴って増加していることを見出した。また、肝細胞癌患者に治療を行うことで、末梢血中のPD-L1+MDSCsは有意に減少し(p<0.05)、治療前のPD-L1+MDSCsの割合は治療後の無再発生存期間に有意に影響を及ぼすことがわかった(p<0.05)。癌微小環境を再現した共培養検討(肝細胞株癌と健常者PBMCsとの共培養)を行ったところ、肝細胞癌株との共培養後にPD-L1+MDSCsは有意に増加した(p<0.05)。その中でPD-L1+MDSCsの増加が大きかった肝細胞癌株からmRNAを抽出し、real-time PCRを施行したところ、M-CSF、VEGFの発現が有意に高かった(p<0.01)。そこで、M-CSFやVEGFの中和抗体を用いて共培養を施行したところ、PD-L1+MDSCsの増加は抑制された。このことからM-CSF、VEGFがPD-L1+MDSCsの重要な誘導因子である可能性が示された。しかしながら、M-CSFやVEGFのみでの予後予測は難しいことが分かった。健常者と比較して、肝細胞癌患者の末梢血中にはPD-L1+MDSCsが有意に増加しており、治療介入によりその頻度は低下することから、肝細胞癌の新たなバイオマーカーとしてPD-L1+MDSCsは有用である可能性が示された。
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