• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

NASH発癌におけるマクロファージの役割と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25460973
研究機関秋田大学

研究代表者

三浦 光一  秋田大学, 医学部, 講師 (90375238)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード肝癌 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 腸内細菌 / マクロファージ / TLR
研究実績の概要

本研究では非アルコール性脂肪性肝炎(以下NASH)を基盤とした肝発癌モデルとされる肝細胞特異的PTEN 欠損マウス(以下PTEN KO)を用いて、NASH肝発癌におけるマクロファージ、腸内細菌叢、そしてToll様受容体の役割を解析した。一般的にNASHではマクロファージなどの炎症細胞が肝蔵内に集積し、そこから産生される炎症性サイトカインが肝障害を引き起こし、それが肝癌へと誘導すると考えられている。まず腸内細菌に由来する細菌構成成分が肝臓での炎症や発癌への寄与をみるため、抗生剤を長期投与したところ炎症や肝発癌が抑制された。次にToll様受容体(TLR)の検討を行った。細菌は大きくグラム陽性菌と陰性菌に分かれる。TLR2はグラム陽性菌、TLR4はグラム陰性菌の構成成分を認識する。そこでTLR2またはTLR4欠損マウスとPTEN KOマウスを交配して、NASH発癌にはどちらの種の細菌が重要か決定した。PTEN-TLR4 double KOマウスではNASHや肝発癌が抑制されたことから腸内細菌の中でもグラム陰性菌が重要であることが分かった。次にマクロファージに発現するTLR4の役割を検討するため、骨髄移植によるキメラマウスの作成や試薬によるマクロファージ除去を試みた。それら実験ではマクロファージを含む血液由来細胞に発現するTLR4が病気の進行に関与し、マクロファージ除去によりさらにNASHや肝発癌が改善した。さらにNASHにおいてはマクロファージが腸内細菌に由来するLPS(TLR4のリガンド)に対して過剰に反応して、炎症性サイトカインを産生することを我々は明らかにした。この炎症性サイトカインはさらに癌幹細胞を早期に出現、増殖させ、癌細胞の増殖に寄与していることを明らかにした。これらの結果から腸内環境を健康に保つことや炎症細胞を抑制することが肝癌の予防になると考えた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 腸内細菌と線維化合併肝細胞癌2015

    • 著者名/発表者名
      三浦光一、石岡充彬、大西洋英
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 70 ページ: 883-888

  • [学会発表] NASH発癌における腸内細菌の解析と病的意義2015

    • 著者名/発表者名
      三浦光一、石岡充彬、大西洋英
    • 学会等名
      第19回日本肝臓学会大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-08
  • [学会発表] TLR4 signaling on macrophages promotes the progression of steatohepatitis and liver tumors in hepatocyte-specific PTEN deficient mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Miura K, Ishioka M, Ohnishi H
    • 学会等名
      Digestive Disease Week 2015
    • 発表場所
      Washington, D.C, USA
    • 年月日
      2015-05-17 – 2015-05-17
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi