研究課題/領域番号 |
25460976
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀口 昇男 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10550022)
|
研究分担者 |
山田 英二郎 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60645563)
柿崎 暁 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80344935)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / マクロファージ遊走阻止因子 / 高脂肪食 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD)は、日本や米国のなどの先進国における肝障害の原因としてもっとも頻度の高いものであり、その中でも、脂肪肝には慢性炎症を伴い、肝硬変への経過をたどる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が大きな問題となっている。今回、我々は、マクロファージの集積/活性化に関与し、自然免疫と獲得免疫の両免疫系に関与するマクロファージ遊走阻止因子(MIF: Macrophage Migration Inhibitory Factor)のNASH/NAFLDにおける役割について解析した。 我々はメタボリック症候群の発症におけるMIFの役割を明らかにするためにWT(野生型マウス)およびMIF-KO(MIFノックアウトマウス)に24週間、72週間の普通食、高脂肪食負荷を行い解析を行った。 24週間の時点で、高脂肪食負荷MIF-KOでは、メタボリック症候群に類似したインスリン抵抗性に起因する、体重の増加、肝臓/体重比の増加、肝組織中における中性脂肪濃度の上昇、病理学的に肝臓の脂肪沈着(steatosis),肝線維化が促進されること(米国肝臓学会2013、unpublished data)という知見をえて、このメカニズムにAMPKのシグナルが関与していることを明らかにした。さらに、その下流のターゲットの解析を進めている。 72週間の時点で、野生型マウスと比較してMIF-KOでは肝脂質沈着および肝線維化が促進されることが著明になった一方で、肝腫瘍の発生は野生型マウスにおいて抑制されるという知見を得て、腫瘍細胞と炎症細胞の相互作用に着目して、MIFの肝腫瘍抑制メカニズムの解析を行った。 以上の結果を論文投稿/投稿準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD)は、日本や米国のなどの先進国における肝障害の原因としてもっとも頻度の高いものであり、その中でも、脂肪肝には慢性炎症を伴い、肝硬変への経過をたどる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が大きな問題となっている。今回、我々は、マクロファージの集積/活性化に関与し、自然免疫と獲得免疫の両免疫系に関与するマクロファージ遊走阻止因子(MIF: Macrophage Migration Inhibitory Factor)のNASH/NAFLDにおける役割について解析した。 我々はメタボリック症候群の発症におけるMIFの役割を明らかにするためにWT(野生型マウス)およびMIF-KO(MIFノックアウトマウス)に24週間、72週間の普通食、高脂肪食負荷を行い解析を行った。 24週間の時点で、高脂肪食負荷MIF-KOでは、メタボリック症候群に類似したインスリン抵抗性に起因する、体重の増加、肝臓/体重比の増加、肝組織中における中性脂肪濃度の上昇、病理学的に肝臓の脂肪沈着(steatosis),肝線維化が促進されること(米国肝臓学会2013、unpublished data)という知見をえて、このメカニズムにAMPKのシグナルが関与していることを明らかにした。さらに、その下流のターゲットの解析を行った。 72週間の時点で、野生型マウスと比較してMIF-KOでは肝脂質沈着および肝線維化が促進されることが著明になった一方で、肝腫瘍の発生は野生型マウスにおいて抑制されるという知見を得て、腫瘍細胞と炎症細胞の相互作用に着目して、MIFの肝腫瘍抑制メカニズムの解析を行った。 さらに、臨床検体(肝生検)を用い、NASH/NAFLDの肝細胞組織におけるMIF/CD74(MIFレセプター)の発現、血清中のMIF値と、メタボリック症候群の検査所見、肝炎症、肝脂質沈着、肝線維化との相関を解析している。 以上の結果を一部論文発表済み、また論文投稿中/投稿準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
実験結果の一部論文発表済み、また論文投稿中/投稿準備中。査読の結果により追加実験を行う。 さらに、MIF-CD74系の肝発癌促進メカニズムの解析をすすめていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今回得られらた結果の一部はすでに論文発表している。現在投稿中の論文の追加実験、投稿準備中の実験に使用するため繰り越しとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在投稿中の論文の追加実験、投稿準備中の実験に使用するため繰り越しとした。
|