メタボリック症候群の発症に重要なマクロファージ活性化のメカニズムを解明するため、マクロファージの集積/活性化に関与し、自然免疫と獲得免疫の両免疫に作用、また、ヒトのメタボリック症候群で血中濃度が上昇することが報告されている “マクロファージ遊走阻止因子(MIF: macrophage migration inhibitory factor)”に着目し、高脂肪食負荷(24週間)でMIF-KOでは、肝臓の炎症が軽度にあるにもかかわらず肝線維化が亢進されること、肝脂質沈着は増悪することを明らかにした。(米国消化器病学会週間(DDW)2012、第48回日本肝臓学会総会の口演発表(演者)、データの一部を論文化、残りのデータを投稿準備中)
今回の解析で、MIF-CD74(MIFレセプター)系の、マウスおよびヒトでの非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の進行、肝線維化への関与、肝発癌への関与、またそのメカニズムとしてのサイトカイン制御、アデイポカイン制御機構を明らかにし、MIF- CD74(MIFレセプター)系の活性化もしくは抑制によるメタボリック症候群からの肝発癌の治療の可能性を検討した。 今後、さらに研究をすすめ、NASHの病態におけるMIF-CD74(MIF レセプター)の関与やそのメカニズムを明らかにすることは、NASHからの発癌機構の解明だけでなく、MIF、CD74(MIFレセプター)の生物学的意義の解明であり、臨床医学上非常に意義のある研究と考える。
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