研究課題
基盤研究(C)
トリメチル化ヒストンH3K9はトリメチル化ヒストンH3K27と共に重要な転写抑制性ヒストン修飾であるが、肝癌における検討は十分に行われていない。そこでまず、トリメチル化ヒストンH3K9とヒストンH3K9のメチル化酵素であるESETおよびSUV39H1の臨床病理学的検討を行った。その結果、トリメチル化ヒストンH3K9とSUV39H1の発現はよく相関する一方、ESETの発現との関連性は乏しかった。また、トリメチル化ヒストンH3K9およびSUV39H1の発現レベルが高い症例では、トリメチル化ヒストンH3K9およびSUV39H1の発現レベルが低い症例に比して、recurrence free survivalが有意に不良であった。次に、肝癌培養細胞株を用いて、short hairpin RNA (sh-RNA)によるSUV39H1のloss-of-function assayを行ったところ、増殖能とsphere形成能の低下がみとめられた。また、SUV39H1の阻害剤であるchaetocinを用いたin vivoの検討により、免疫不全マウスにおけるxenograft tumorの腫瘍増大抑制効果が観察された。
3: やや遅れている
トリメチル化ヒストンH3K9とヒストンH3K9のメチル化酵素であるESETおよびSUV39H1の、臨床検体を用いた臨床病理学的検討は予定通りに進行した。あわせて、肝癌培養細胞株を用いた培養系におけるESETおよびSUV39H1のloss-of-functionの実験も成果があった。一方で、ESETノックアウトマウス由来の正常肝幹細胞の解析は、マウスの繁殖が予定通り進まなかったため、平成25年度は施行できなかった。本実験に関しては平成26年度に行う予定である。
タモキシフェンの投与により、時間的にESETの発現が制御可能な、Cre-ERTマウスと交配させたESETのノックアウトマウスより肝幹細胞を分離し、コロニーアッセイを行うことで、ESETの機能解析を進める予定である。また、肝臓特異的にESETをノックダウンするために、Alb-Creマウスと交配させたESETのノックアウトマウスを用いて、成体肝臓の解析も併せて行う予定である。
当該研究の進行状況がやや遅れ気味であったため、次年度使用額が生じた。比較的少額であり、物品費(消耗品購入費用)として使用予定である。
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PLoS One
巻: 9 ページ: e84807
10.1371/journal.pone.0084807
巻: 8 ページ: e70010
10.1371/journal.pone.0070010