肝癌細胞及び正常肝幹細胞を用いて、H3K9のトリメチル化酵素であるESET, SUV39H1の機能解析を行った。肝癌培養細胞を用いたSUV39H1の機能喪失では、H3K9me3の発現レベルは低下しており、増殖能および腫瘍形成能が抑制され、肝癌手術検体におけるSUV39H1とH3K9me3の発現は有意に相関していた。一方で、ESETに関してはこれらの所見は認められなかった。また、ESETノックアウトマウスの胎児肝由来のDlk細胞のコロニーアッセイでは、培養系において幹/前駆細胞の減少と分化障害が認められた。したがって、正常肝臓及び肝癌におけるESETの役割は大きく異なる可能性が示唆された。
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