本研究では肝細胞癌における直鎖状ポリユビキチン鎖の役割とSharpin高発現の意義の検討を行った。Sharpinは癌部で発現が増加しており、腫瘍径及び病理学的悪性度と有意な相関を認めた。Sharpin安定発現株では増殖能に変化は認めなかったものの浸潤能が亢進し、一部NF-κB非依存的な機序が考えられた。cDNAマイクロアレイ解析ではVersicanという細胞外マトリックスプロテオグリカンの発現亢進が認められ、ノックダウンで浸潤能は低下した。SharpinはVersicanの発現亢進を介して肝癌の浸潤を促進している可能性が示唆され、新規の癌進展メカニズムと考えられた。
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