研究課題/領域番号 |
25460983
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川合 弘一 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80419291)
|
研究分担者 |
須田 剛士 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10361916)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | NASH / 脂肪肝 / ミトコンドリアDNAコピー数 / 活性酸素種 / ミトコンドリア生合成 / マイトファジー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、NASHモデルマウスを用いて、病態進展とmtDNAコピー数変化との関連、およびミトコンドリア生合成・分解バランスの観点からmtDNAコピー数を規定するメカニズムを解明することである。 通常食(Chow)群、脂肪肝モデルとして高脂肪食(HFD)群、NASHモデルとしてメチオニン・コリン欠乏食(MCD)群、HFD群のうち途中から通常食に変更した食事介入(HCD)群のマウスモデルを作成した。肝mtDNAコピー数を絶対定量すると、MCD群ではChow群より有意に減少していた。また筋肉のmtDNAコピー数も同様の結果だった。HFD群ではmtDNAコピー数は増加傾向だったが、HCDのmtDNAコピー数はChow6週レベルまで是正され、筋肉でも同様の傾向だった。RT-PCRでは、HFD群においてPGC1α、Tfam、Nrf1、Keap1、LC3B、Parkin、Pink1が減少し、HCD群ではParkinを除いて全て有意に増加傾向であった。MCD群ではPGC1α、Nrf1、Keap1、LC3Bが増加傾向だった。蛋白発現量においてもPGC1αはHCD、MCD群において、LC3BはHCDにおいてのみ有意に増加していた。 MCD群では過剰な脂肪酸の流入に伴いβ酸化が亢進し、活性酸素種の発生増加でミトコンドリアが障害されmtDNAコピー数が減少したと推測される。HFDでは生合成・分解系両方の遺伝子群、蛋白レベルが増加したが、食事介入により分解系であるマイトファジーの機能が亢進し、mtDNAコピー数が是正されと推測された。また筋肉においてもmtDNAコピー数は肝と同様の傾向を示していた。 本研究においてNASH、脂肪肝でmtDNAコピー数を制御するメカニズムの一端が明らかとなり、肝だけでなく全身の臓器連関を軸とした病態の全容解明への寄与が期待できる結果と考える。
|