研究課題
基盤研究(C)
研究代表者らは、これまでに海洋生物の抽出物をスクリーニングソースとして、C型肝炎ウイルス(HCV)増殖を抑制するものについて検索を行ってきた。その結果、海綿Amphimedonの酢酸エチル抽出物に強い抗HCV活性があることを見出した。そこで平成25年度は、海綿Amphimedonから抗HCV活性を有する化合物の分離・同定を試みた。海綿Amphimedonの酢酸エチル抽出物について分画・精製を繰り返した結果、酢酸エチル抽出物より抗HCV活性が強い3つの画分が得られた。そのうちの1つの画分中の主要な物質の構造をNMRを用いて構造決定を行った。その結果、カロチノイドの1種が主要な成分であることが判った。現在、この化合物について詳細な解析を行っている。また、他の2つの画分についてもその中に含まれる主要な化合物について、分離・同定を試みている。また、本研究課題では、新たなHCV治療薬開発のターゲット部位としてHCV NS2/3 プロテアーゼを選択し、その活性を阻害する化合物を海洋生物の抽出物から探索することを研究目的としている。平成25年度は、まず、HCV NS2/3 プロテアーゼをコードするHCV genotype 1b フルゲノムレプリコン細胞を用いて、海洋生物の抽出物80種について、その抗HCV活性の検討を行った。しかし、検討を行った80種の中には、抗HCV活性を有するものは無かった。また、培養細胞系を用いたHCV NS2/3 プロテアーゼ活性測定系の構築については、平成25年度中に構築することを計画していたが、現在までのところ完成には至っておらず、今なお構築中の状態である。
3: やや遅れている
1)抗HCV活性を有するカロチノイドの1種は精製過程で分解されている可能性があり、再現性のある抑制活性を得ることが出来ない。2)抗HCV活性を有する他の2つ画分からの活性の主要成分の分画、精製法がなかなか確立出来ない。3)今回、HCV genotype 1b フルゲノムレプリコン細胞を用いたスクリーニングでは、ヒットするものが得られなかったため、使用した海洋生物抽出物ライブラリーに問題があると思われる。3)培養細胞系を用いたHCV NS2/3 プロテアーゼ活性測定系構築では測定に最適な活性が得られていない。
1)海綿Amphimedonの酢酸エチル抽出から効率的かつ安定的な抗HCV抑制物の分画・精製法を確立する。2)新たな海洋生物抽出物ライブラリーの構築した後、抗HCV活性のあるもの探索するためにHCV genotype 1b フルゲノムレプリコン細胞を用いて、再度スクリーニングを行う。3)培養細胞系を用いたHCV NS2/3 プロテアーゼ活性測定系構築ではレポータ遺伝子の選択を含め、感度良く測定出来る方法を確立する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
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