研究課題
1. リン酸化型RXRα蛋白発現がマウスES細胞に及ぼす影響:はじめに、doxycycline投与によってリン酸化型RXRαの発現調節が可能なクローニングベクターを作製し、リン酸化型RXRα誘導性ES細胞およびマウスの作製を作成した。リン酸化型RXRα蛋白がRARE, RXRE, PPREプロモーター活性に及ぼす影響について検討したところ、RXRE, PPRE活性の明らかな低下を認めたが、RAREへの影響は認めなかった。次に、マウスES細胞を分化培地で培養し、doxycycline投与の有無による細胞増殖への影響について検討したところ、リン酸化型RXRα蛋白発現群では、非投与群に比べて優位な細胞増殖の増加を認めた。また、リン酸化型RXRα蛋白発現群では、alkalinephosphatase染色に陽性を示す、比較的未分化な形態を保った細胞の出現を認めた。2. リン酸化型RXRα蛋白の肝発癌感受性に関する研究:我々が作成したトランスジェニックマウスを、リン酸化型RXRα mutant発現群(Rxrα/+; Rosa/+)と対照群(Rosa/+)の2群に分け、Diethylnitrosamine(DEN: 25mg/kg、生後15日腹腔内投与)で肝腫瘍を誘発した後、4週齢より0.2% doxycyclineを飲水投与し、月齢6ヶ月にて屠殺を行った。各群の肝腫瘍発生率、腫瘍最大径、総腫瘍数について肉眼的に評価を行ったところ、肝腫瘍は各群とも全例に認められたが、総腫瘍数についてはRxrα/+; Rosa/+群において、Rosa/+群と比べ明らかな増加を認めた。また、腫瘍最大径、肝重量についてもRxrα/+; Rosa/+群での増加を認めた。以上の結果から、リン酸化型RXRα蛋白はDEN誘発肝腫瘍形成の過程において促進的に影響しうる可能性が考えられた。
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