研究課題
非アルコール性及びアルコール性脂肪性肝炎は肝硬変・肝癌に進展しうる病態であり、メタボリックシンドロームの発症基盤となり動脈硬化症とも深く関連している。マウス脂肪性肝炎モデルにおいて、ヒトprotein S (hPS) TGマウスでは野生型に比べて脂肪性肝炎が増悪し、その機序にはprotein S (PS)によるNKT細胞の活性化が肝障害の進展に重要な役割を果たすことを示した。PSはNKT細胞におけるIL-4,IL-13 及びオステオポンチンの発現を誘導すること、NKT細胞の受容体型チロシンキナーゼMerを介してAktのリン酸化を促進し、アポトーシスを抑制するとともに、Fasリガンドの発現を上昇させ、直接肝細胞障害を促進することを明らかにした。また、脂肪性肝炎/アンジテンシンII誘導動脈硬化症合併マウスモデルにおいて、動脈硬化進展における骨髄由来幹細胞の関連を検討し、アルコール摂取量が高いマウス群ではアルコール摂取量が低いマウス群に比べ、活性型VII因子の血中濃度が有意に高値であったが、CXCL12/SDF-1の血中濃度が有意に低下した。また、動脈硬化症の進展はアルコール摂取量が高いマウス群ではアルコール摂取量が低いマウス群に比べ、有意に悪化した。動脈硬化症の病態進展に凝固系の活性化と骨髄多能性幹細胞動員因子の低下が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。以上の結果から、PSの多量発現等凝固線溶系因子の異常が脂肪性肝炎の発症に寄与していることが示された。また脂肪性肝炎に合併する動脈硬化惹起にはトロンビンの上昇とCXCL12/SDF-1低下が関与することが明らかになった。特にPSが肝および全身の炎症反応の中心的役割を担う肝NKT細胞の活性化を調節していることから、PS-NKT系の操作により肝炎、肝線維化、動脈硬化症を制御できる可能性が示された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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