HBV駆除のための効果的な治療法開発にはHBVに対する宿主免疫応答の解明が必須である。本研究では、二種類の新たなB型肝炎モデルマウスと三つの異なる実験系由来のHBV感染細胞を対象としてトランスクリプトーム解析を行い、B型肝炎における免疫応答の網羅的な解明を目指した。モデルマウスを用いた実験では、肝炎発症時の肝内でTh1型免疫遺伝子と同時に抑制系免疫遺伝子の発現上昇が確認され、B型肝炎における免疫応答は正と負の制御バランスのうえに成立していることが示唆された。また、HBV感染細胞での解析では、自然免疫関連遺伝子の有意な発現上昇はみられず、HBVに対する自然免疫応答は減弱していることが示唆された。
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