研究概要 |
C型肝炎に対するテラプレビル (TVR) 3剤併用療法の非著効例の大半で検出される薬剤耐性ウイルスが,第二世代プロテアーゼ阻害薬であるシメプレビル (SMV) 3剤併用療法に与える影響を検討した。 TVR併用療法非著効例に対してSMV併用療法を開始したGenotype 1型のC型慢性肝疾患7例(男性/女性:4例/3例、平均年齢62.4歳、TVR併用療法:再燃3例/無効2例/中止2例)を対象とし、NS3領域(36, 43, 54, 55, 80, 122, 155, 156, 168, 170)のアミノ酸変異の解析をDirect sequence法ならびにDeep sequence法を用いて行っている. この結果、SMV療法前のNS3遺伝子多型は7例中4例(V36G/L: 2例/1例、Q80L :1例、S122G: 1例、V170I 2例)に認めた。SMV療法開始後4週以上経過した4例中2例は、4週時HCV RNA 陰性化(再燃例, 治療前V36L)、感度以下陽性(再燃例, 治療前変異なし)と抗ウイルス効果良好であったが、他の2例は、4週時HCV RNA 3.6 Log IU/mL(再燃例, 治療前V36G/Q80L/V170I)、4.6 Log IU/mL(無効例, 治療前V170I)と抗ウイルス効果不良であった。最後の症例では、TVR療法前よりV36G/V170Iの変異を認め, SMV療法前(TVR治療中止72週後)にも V170Iの変異を認め,SMV療法4週時点には, V170Iに加えてS122G, D168Vの新たなSMV耐性変異の出現を認めた. TVR療法非著効例に対するSMV療法の早期抗ウイルス効果良好例はいずれもTVR療法再燃例であったが、現在、Deep sequence法による耐性変異の追加解析中である。
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