研究課題/領域番号 |
25460998
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
正木 勉 香川大学, 医学部, 教授 (30335848)
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研究分担者 |
谷 丈二 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00596075)
樋本 尚志 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (20325343)
三好 久昭 香川大学, 医学部, 助教 (40592316)
平島 光臣 香川大学, 医学部, 研究員 (70109700)
米山 弘人 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80294750)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Gal-9 / 細胞がん |
研究実績の概要 |
非ウイルス性の肝細胞がんの比率が増え、進行がんで、発見される場合が少なくなく、その治療法は、困難を極めている。よって新しい視点に立った、進行肝がんの治療法開発は急務である。本研究の目的は、我々が、見出した新しい生理活性物質ガレクチン-9(Gal-9)(J Biol Chem. 273: 16976-16984, 1998)が、肝細胞がんに対して、抗腫瘍効果があるかどうかを検討し、進行肝がんの治療薬につながるかどうかの基礎的研究を行った。さらに、Gal-9の癌抑制メカニズムが、アポトーシス関連分子、マイクロRNAの網羅的に解析することにより、Gal-9の抗腫瘍効果に関連する分子群を拾い上げた。特にマイクロRNAに関しては、Gal-9による癌細胞抑制に起因するマイクロRNAを同定し、その標的遺伝子を決定した。まず、Gal-9のin vitro の増殖抑制は3つの細胞株(HLE, Li-7, Huh7) で調べた。この3つの細胞株のうち、Huh7は効果はなかったが、HLE, Li-7においては、MTT アッセイによって増殖与癖が見られた。また、ヌードマウスに皮下に植え付けたLi-7は、Gal-9の投与において、優位に抑制された。さらに、その抑制効果は、細胞周期のアレストではなくアポトーシスの誘導によるものであった。また、Gal-9の投与により多くのマイクロRNA が変化していたが、最も上昇していたMir-1246は、そのターゲットをDYRK1Aであり、これによりカスパーゼ9を介して、アポトーシスを誘導した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期間内の研究計画内容は以下の通りであった。 1.Gal-9のin vitro, in vivoにおける肝がん細胞増殖抑制実験とGal-9投与により変化する細胞周期分子、血管新生分子、アポトーシス関連分子、レセプター型チロシンキナーゼ関連分子の網羅的解析。2.ヌードマウス移植肝がんにおけるGal-9の腫瘍増殖抑制効果およびGal-9-KOマウスを用いた腫瘍発育の検討と細胞周期分子、血管新生分子、アポトーシス関連分子、レセプター型チロシンキナーゼの網羅的解析。3. Gal-9の投与により、細胞株、腫瘍組織で変化するマイクロRNAの網羅的検討とクラスター解析。4.Gal-9の投与により変化するマイクロRNAの中で、腫瘍抑制効果に関連するマイクロRNAを同定し、そのマイクロRNA遺伝子の予測と実験的検証。5.肝がん細胞の増殖を抑制マイクロRNAの機能解析。6.慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん患者における血清中のGal-9の量をELISA法により検討し、臨床パラメーターとの関連性を検討。 研究の計画内容で上記の1から6は、ほぼ100%到達した。上記の研究は、すでに論文化された。以下のように掲載されている。6は現在検討中である。 Fujita K, Masaki T et al. Galectin-9 supresses the growth of hepatocellyular carcinoma via apoptosis in vitro and in vivo. Int J Oncol 46, 2419-2430, 2005.
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今後の研究の推進方策 |
ウイルス性慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん患者における血清中のGal-9の量をELISA法により検討し、臨床パラメーターとの関連性を検討。各々の病態のサンプル数は、治療前の200症例を行う。ガレクチンの量が肝細胞癌の予後の可能瀬はないかどうかを検討する。 また、Gal-9no 効果が、肝細胞癌以外の他の消化器系の癌に抗腫瘍効果があるかどうかを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費において事前に見積もりした金額より、安く購入できたため
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し額は7,258円と少額のため、ピペット等実験のための消耗品に使用する。
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