研究課題
非ウイルス性の肝細胞がんの比率が増え、進行がんで、発見される場合が少なくなく、その治療法は、困難を極めている。よって新しい視点に立った、進行肝がんの治療法開発は急務である。本研究の目的は、我々が、見出した新しい生理活性物質ガレクチン-9(Gal-9)(J Biol Chem. 273: 16976-16984, 1998)が、肝細胞がんに対して、抗腫瘍効果があるかどうかを検討し、進行肝がんの治療薬につながるかどうかの基礎的研究を行った。さらに、Gal-9の癌抑制メカニズムが、アポトーシス関連分子、マイクロRNAの網羅的に解析することにより、Gal-9の抗腫瘍効果に関連する分子群を拾い上げた。特にマイクロRNAに関しては、Gal-9による癌細胞抑制に起因するマイクロRNAを同定し、その標的遺伝子を決定した。まず、Gal-9のin vitro の増殖抑制は3つの細胞株(HLE, Li-7, Huh7)で調べた。この3つの細胞株のうち、Huh7は効果はなかったが、HLE, Li-7においては、MTT アッセイによって増殖抑制が見られた。また、ヌードマウスに皮下に植え付けたLi-7は、Gal-9の投与において、優位に抑制された。さらに、その抑制効果は、細胞周期のアレストではなくアポトーシスの誘導によるものであった。また、Gal-9の投与により多くのマイクロRNA が変化していたが、最も上昇していたMir-1246は、そのターゲットをDYRK1Aであり、これによりカスパーゼ9を介して、アポトーシスを誘導した。さらに、他の消化器癌、食道がん、胃癌、胆管細胞癌のGal-9 の抗腫瘍効果も併せ検討し、同様に、アポトーシスの強力な誘導による抗腫瘍抑制効果をもたらした。
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