研究課題/領域番号 |
25461000
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 正樹 九州大学, 大学病院, 助教 (60444808)
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研究分担者 |
古藤 和浩 九州大学, 大学病院, 講師 (80289579)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝線維化 / 低酸素 / hedgehog / 末梢血単核球 / HO-1 / VEGFA / VEGFR2 / adrenomedullin |
研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果: 前年度に引き続き、慢性肝障害患者の末梢血単核球を用いて低酸素マーカーとなりえる遺伝子発現の評価をおこなった。患者内訳は、慢性肝疾患症例48例で、C型肝炎関連疾患25例、B型肝炎関連疾患11例、非アルコール性脂肪肝5例、その他7例。慢性肝炎は24例、肝硬変は24例。健常群は12例。健常群における発現レベルを1と規定し、慢性肝疾患群と比較した。低酸素マーカーではHO-1: 1.72±1.15(P<0.05)と上昇が認められ、酸化ストレスマーカーはSOD: 1.72±1.18(P<0.05)、GPx:2.26±8.12(P<0.01)、炎症マーカーはIL-6: 2.02±4.52(P>0.05)、TNFα: 1.34±1.06(P>0.05)、TGFβ: 1.27±0.43(P<0.05)、血管新生マーカーはVEGFA: 2.89±2.04(P<0.01)、VEGFR2: 5.59±13.5(P>0. 05)、adrenomedullin: 2.96±2.23(P<0.01)と上昇していた。
研究期間全体を通じて実施した研究の成果: チオアセトアミド水を用いた動物モデルを用いた基礎的研究では、慢性肝障害の早期より類洞血流が低下し、肝実質が低酸素化状態に陥っていた。活性化した肝星細胞が線維性架橋に出現し、この活性化はsonic hedgehog依存的であることが示唆された。慢性肝疾患患者の末梢血単核球を用いて低酸素マーカーの確立を試みた。健常者と比較して、慢性肝疾患患者では、低酸素で誘導されるHO-1の発現が有意に増大し、また新生血管産生に関与するVEGFA、VEGFR2、adrenomedullinの発現が大きく増大しており、これらの発現を評価することにより、非侵襲的に肝線維化および肝発癌ポテンシャルを推察できる可能性が示された。
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