慢性肝疾患では肝内低酸素状態が、肝線維化や肝発癌を誘導している可能性がある。チオアセトアミドによるラット慢性肝障害モデルでは、早期より肝内に低酸素状態が出現し、これに一致して肝星細胞はIndian hedgehog発現の低下を介して活性化し、線維化を誘導していた。また、慢性肝障害患者の末梢血単核球では、HIF1αやHO-1などの低酸素誘導遺伝子、VEGFAやAdrenomedullinなどの血管新生制御遺伝子の有意な発現増大が認められ、肝内低酸素状態の存在を反映していた。DNA損傷に反応するp21の発現も増大しており、肝内の低酸素状態が発癌ポテンシャルを増大させていることが示唆された。
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