研究概要 |
ヒトHepG2肝細胞、ラット内臓脂肪組織(VAT)および皮下脂肪組織(SAT)を、器官培養系を用いて3次元培養した。対照として、脂肪組織片単独、HepG2単独培養を行った。 HepG2肝細胞と脂肪組織の細胞動態を、電子顕微鏡、免疫組織化学(Ki67)、real-time RT PCR(AFP, albumin)、ELISA(CK18 fragment, adiponectin, leptin, resistin, TNFα)で解析した。 VATはHepG2肝細胞のアポトーシスを促進し、増殖を抑制したが、SATは影響しなかった。VATはSATより顕著にHepG2肝細胞の機能分化を低下させ、肝細胞内の脂肪滴蓄積を亢進した。すなわち脂肪毒性lipotoxicityを誘導した。 AdiponectinはVATで、leptin, resistinはSATでより多く産生されていた。これらのadipokineの産生は、脂肪組織単独培養と共培養で変化がみられなかった。TNFαは測定感度以下であった。遊離脂肪酸産生はSATよりVATで高く、VATでは共培養により低下した。 以上、VATがHepG2肝細胞に特異的に脂肪毒性を誘導することが確認された。この仲介因子として、遊離脂肪酸の一部が関与している可能性があり、今後は遊離脂肪酸について詳細に検討を行う予定である。また、ラット由来の肝細胞を用いて同様の実験を行う。
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