研究課題
肝細胞株(ヒトHepG2およびラットRL34)と内臓/皮下脂肪組織片(ラット、ヒト)との共培養を行うと、内臓脂肪組織(VAT)のみが肝細胞のアポトーシスを促進し、増殖を抑制した。電子顕微鏡では、脂肪組織との共培養により肝細胞内に脂肪滴が蓄積しており、脂肪滴数は、皮下脂肪組織(SAT)に比しVATとの共培養時に有意に多かった。すなわち、VATが特異的に肝細胞に脂肪毒性を誘導することを見出した。脂肪組織片の培養上清を肝細胞単層培養に投与すると、VATの培養上清のみが肝細胞の脂肪毒性を誘導したことから、VAT特異的な肝細胞の脂肪毒性は液性因子が仲介していることが示唆された。Adipokineが仲介因子である可能性を考えたが、adiponectin, leptinの関与は乏しく、遊離脂肪酸のうちパルミチン酸が脂肪毒性の一部に関与していることが示唆された。しかしパルミチン酸誘導性の脂肪毒性と、VAT誘導性の脂肪毒性には相違があった。cDNA microarrayによる網羅的遺伝子解析により候補遺伝子を模索したが、同定には至らなかった。VATが誘導する脂肪毒性の仲介因子としてexosome(adiposome)の関与を疑い、脂肪組織片培養上清からの抽出を試みたが、微量であり、十分な解析までは至らなかった。また、ラット由来初代培養肝細胞を単離し、肝スフェロイドを形成し、VATおよびSATの脂肪組織片との共培養を試みた。形態学的に明らかな差は認められなかったが、今後遺伝子、蛋白レベルでの脂肪毒性に関する解析を行っていく予定である。
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