研究課題
B型肝炎ウイルス(HBV)の感染は慢性肝炎から肝硬変をきたし腹水、黄疸、肝性脳症、肝癌といった合併症が出現する。また治癒した患者においても抗がん剤等を投与することにより再活性化による重篤な肝障害をきたす。我々はHBVの複製メカニズム、HBV遺伝子型、遺伝子変異、HBVによる慢性肝疾患の病態、治療に関する研究を行ってきた。今回、肝組織、血清中の複数のHBV mRNAを定量的に検出する新しい測定系の確立のため実験を行った。HBVは高頻度に遺伝子変異が認められるため、遺伝子解析ソフトを用いて各領域にプライマー、プローブを設定し、リアルタイムPCRを行うための最適化の実験条件につき検討を行った。検出系としては抽出したRNAから直接リアルタイムRT-PCRを行い検出する方法とRT反応を先行させその後にセカンドステップとしてリアルタイムPCRを行う方法を比較検討し後者のほうが測定系として安定していることを確認した。また短時間型リアルタイムPCRの導入につき、試薬の試適濃度設定、反応温度等の実験条件の設定を行い高い検出感度と定量性、再現性が得られることを確認した。さらに核酸抽出した後に核酸のPurificationを行うことにより純化、濃縮化により検出感度を高め、定量性や定性としての感度を高めることを確認した。加えて高感度な定性的判定を行うためにpre-amplificationによる予備的な遺伝子増幅を行い、その後リアルタイムPCRを行い検出感度を高める方法についても検討を行い、実験条件の設定を行った。最初の実験系では本邦で高頻度である遺伝子型C型に対する実験系として検討を進めたが、低頻度で存在する遺伝子型A型、B型の検出に最適化される実験系についても設定を行った。mRNAと血清学的マーカー、臨床像との関連につき実験、データの蓄積を進めてゆき、今後実験を継続しながらデータ解析を行う。
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Hepatol Res.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/hepr.12898.
Nutrition
巻: 33 ページ: 20-27
10.1016/j.nut.2016.07.013