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2014 年度 実施状況報告書

B型肝炎におけるマイクロRNAを用いた肝線維化マーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25461006
研究機関大阪市立大学

研究代表者

榎本 大  大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20423874)

研究分担者 村上 善基  大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397556)
河田 則文  大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30271191)
田守 昭博  大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30291595)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードB型肝炎 / マイクロRNA
研究実績の概要

慢性肝疾患における肝線維化進展度の診断は、いまだに侵襲的な肝生検に依存している。そこで、血清バイオマーカーなど非侵襲的な方法で肝線維化を診断することは臨床的に重要な課題である。近年、血中マイクロRNAがエクソソーム中で安定した状態で存在することから、バイオマーカーとして注目されている。これまで我々はC型慢性肝炎の肝線維化進展過程においてmiRNAが深く関係することを明らかにし、特にmiR-222がバイオマーカーになり得ることを示した。今回の研究では、B型慢性肝炎の肝線維化の進展過程において肝組織、血液中で変動し、肝線維化マーカーとなりうるmiRNAを同定することを目的とする。

1) 患者への研究参加の説明と同意の取得:対象は肝生検を受けるB型慢性肝疾患患者であり症例の登録は概ね順調に進捗している。
2) 臨床検体の採取と保存:病理組織学的に肝臓の壊死・炎症と線維化を診断するために肝生検を行った際、余剰の肝組織の一部を本研究のために保存している。また抗ウイルス治療開始前後の血清についても経時的に採取・保存している。
3) 遺伝子発現の網羅的解析:cDNAアレイを用いて肝内と血中の遺伝子発現プロファイルの網羅的解析に着手している。C型肝炎のみならずB型肝炎においてもインターフェロン(IFN)などの抗ウイルス治療効果を規定すると報告されているIL28Bの遺伝子多型別に、遺伝子発現の比較を行った。IL28Bマイナータイプの患者ではいくつかのIFN関連遺伝子の発現が変化しており、これがB型慢性肝疾患における治療抵抗性の一因になっていることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

・症例の登録は順調に進捗しているが、肝線維化進展例といえるstage 3/4の患者の数が限られている。そのため当初に予定していた軽度肝線維化例と肝線維化進展例の網羅的遺伝子発現の解析はやや遅れている。
・また48週間の抗ウイルス治療を受ける患者の治療効果判定を行うには十分な時間が経過していないため、治療効果別の網羅的遺伝子発現の解析もやや遅れている。
・同様の理由により、治療前、治療中、治療後の経時的な遺伝子発現の変化についても解析がやや遅れている。
・それに対してIL28B遺伝子多型別の遺伝子発現の解析では、いくつかの有意な発現変化を示す遺伝子も見つかっており、B型慢性肝疾患における治療抵抗性の機序の解明に繋がる可能性が期待される。

今後の研究の推進方策

・関連施設とも連携しstage 3/4の患者の解析を進めることによって、軽度肝線維化例と肝線維化進展例の遺伝子発現の比較を行っていく。
・数か月経てば多くの症例で抗ウイルス治療の効果が判定可能となるので、治療効果別の遺伝子発現の比較を進めていくとともに、経時的な遺伝子発現の変化についても解析したい。
・当初、網羅的マイクロRNAの発現解析についてはアレイを用いて解析する予定であったが、当施設で次世代シークエンサーが利用可能となったことから、今後はこれを用いて更に詳細な解析を推進する予定である。
・最終年度には、臨床データから得られた遺伝子の変化が、肝線維化動物モデルや培養肝星細胞においても同様の変化を示すか確認するため基礎実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

・現在までの達成度がやや遅れていること、特に肝線維化進展例といえるstage 3/4の患者の数が限られていること、48週間の抗ウイルス治療を受ける患者の治療効果判定を行うには十分な時間が経過していないこと、予定していた次世代シークエンサーによる予備実験の解析が安定せず、次年度に持ち越さざるを得なくなったことから物品費その他の直接経費の支出が少なくなった。

次年度使用額の使用計画

・関連施設とも連携しstage 3/4の患者の解析を進めていく。また、数か月経てば多くの症例で抗ウイルス治療の効果が判定可能となるので、治療効果別の遺伝子発現の比較を進めていく。
・当初、次世代シークエンサーの系を安定化し、今後はこれを用いて解析を推進する。
・最終年度には、臨床データから得られた遺伝子の変化を確認するため基礎実験を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Noninvasive assessment of liver fibrosis in patients with chronic hepatitis B2014

    • 著者名/発表者名
      Enomoto M, Morikawa H, Tamori A, Kawada N
    • 雑誌名

      World J Gastroenterol

      巻: 20 ページ: 12031-12038

    • DOI

      10.3748/wjg.v20.i34.12031

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] B型慢性肝炎に対するエンテカビル/IFN sequential療法:特にPEG-IFNと従来型IFNの比較について2014

    • 著者名/発表者名
      榎本 大、齋藤正紀、榎本平之、西口修平、津田泰宏、樋口和秀、打田佐和子、森川浩安、村上善基、田守昭博、河田則文
    • 学会等名
      第18回日本肝臓学会大会
    • 発表場所
      神戸国際展示場他(神戸市中央区)
    • 年月日
      2014-10-23 – 2014-10-24
  • [学会発表] HBeAg陽性B型慢性肝炎に対する核酸アナログ/IFN sequential治療後の長期経過:特にHBsAg、HBcrAgの変化について2014

    • 著者名/発表者名
      榎本大、西口修平、河田則文
    • 学会等名
      第100回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都千代田区)
    • 年月日
      2014-04-23 – 2014-04-26
  • [学会発表] Long-term outcome of sequential therapy with lamivudine followed by interferon in nucleoside-naïve, hepatitis B e antigen-positive patients with chronic hepatitis B virus genotype C infection2014

    • 著者名/発表者名
      M. Enomoto, S. Nishiguchi, A. Tamori, S. Uchida-Kobayashi, S. Iwai, H. Morikawa, Y. Murakami, H. Jomura, S. Shiomi, N. Kawada
    • 学会等名
      49th Annual Meeting of the European Association for the Study of the Liver
    • 発表場所
      London (England)
    • 年月日
      2014-04-09 – 2014-04-13

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公開日: 2016-05-27  

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