研究課題
慢性肝疾患における肝線維化進展度の診断は、いまだに侵襲的な肝生検に依存している。そこで、血清バイオマーカーなど非侵襲的な方法で肝線維化を診断することは臨床的に重要な課題である。近年、血中マイクロRNA (miRNA)がエクソソーム中で安定した状態で存在することから、バイオマーカーとして注目されている。これまで我々はC型慢性肝炎の肝線維化進展過程においてmiRNAが深く関係することを明らかにし、特にmiR-222がバイオマーカーになり得ることを示した。今回の研究では、B型慢性肝炎の肝線維化の進展過程において肝組織、血液中で変動し、肝線維化マーカーとなりうるmiRNAを同定することを目的とした。1) マイクロアレイを用いたmiRNA発現の網羅的解析:肝線維化進展例と肝線維化非進展例との間で肝内miRNA発現の網羅的解析を行ったところ、肝線維化進展例で特異的に発現の変化するmiRNAが抽出された。2) リアルタイムPCRを用いたmiRNA発現の定量的解析:マイクロアレイで有意な変化を示したmiRNAは、リアルタイムPCRでも有意な変化を示すことが確認された。そのうちのいくつかは血中でも同様の変化を示し、肝線維化マーカーの候補として有望であると考えられた。3) 標的遺伝子の同定:有意な変化を示したmiRNAの標的遺伝子をデータベースを用いて検索し、肝線維化に伴なう遺伝子の変化との関連を明らかにする必要がある。
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J Interferon Cytokine Res
巻: 35 ページ: 613-620
10.1089/jir.2014.0234