研究実績の概要 |
昨年度までの研究では、マウスの肝脂肪化にマクロファージが関与する、という仮説を証明するべくin vitroの実験を繰り返し行った。In vitroの系では、肝細胞の脂肪化におけるmacrophageの役割を詳細に検討するべく、細胞培養:ヒト肝癌細胞株HepG2、マウス前駆脂肪細胞株3T3-L1、およびマウス肝細胞株AML12にオレイン酸やパルミチン酸を添加する系(Diabetes 2006;55:2301, Exp Mol Med, 2012 July 4)に、活性化したマクロファージを添加し、肝細胞の脂肪化の変化、脂肪滴関連蛋白の発現を検討した。マクロファージはヒトマクロファージ細胞株THP-1やマウスマクロファージ細胞株Raw 264.7細胞にLPSを添加し、活性化したものを用いる。更に、マクロファージが産生するTNF-alpha (J Hepatol 2003;39:978. Gut 2006;55:415)がHepG2細胞、3T3-L1細胞、AML12の脂肪滴のサイズや脂肪滴関連蛋白発現へ与える影響を検討した。最終年度の研究内容は、肝細胞とマクロファージを共培養した状態と肝細胞単独の状態で脂肪を添加し、脂肪化の程度の違いを明らかにすることであった。更に、マクロファージに対してゲノム編集技術、CRISPR/Cas9を用いてMSR-Aをノックアウトした群を作成し、脂肪化が抑制されるか否かを検討した。しかしながら、共培養の系において、再現性を持つ系を樹立することが出来なかった。また、MSR-Aのノックアウトが上手くいかず、実験系としては望まれた結果が認められなかった。
|