研究課題/領域番号 |
25461009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 一幸 岩手医科大学, 医学部, 名誉教授 (00137499)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝硬変 / ミニマル肝性脳症 / カルニチン / 血清遊離脂肪酸 / アンモニア |
研究概要 |
臨床研究:①肝硬変患者の血清カルニチン(CA)動態を測定し、血清総CAに占めるアシル-CAの割合が血清遊離脂肪酸(FFA)濃度と正相関することを明らかにし、血清FFA濃度が日常診療で測定出来ない血清CAの代替マーカーになりうる可能性を指摘した(業績文献参照)。②肝硬変に伴うミニマル肝性脳症(MHE)に対して栄養治療がその改善に有効であることを多施設共同研究より明らかにした(業績文献参照)。③肝硬変例に対して精神神経機能検査を新たに施行してMHEの診断を行うとともに血清CA動態を測定し、その関連性を検討中である。また、MHEと診断された例に対しては研究計画の説明を行い文章による同意を得られた例に対してCAの投与を開始した。 基礎的検討:正常ヒトアストロサイトを購入・培養して最適な実験条件を確立した。また、大塚製薬株式会社よりL-CAの供与を受けるため学内の手続きを得て入手した。実験方法として、正常ヒトアストロサイト培養4時間後に塩化アンモニウム(10μM)およびL-CA(2.5μg/ml)を細胞に単独および混合添加し、2時間後にLDHの放出を測定、24時間後に細胞の生存状態をサイトカイン動態、シグナル分子のリン酸化及びWestern blot法で評価した。結果として、L-CAはアンモニアによる細胞毒性を改善する可能性を示唆する成績が得られた。しかし、添加するアンモニア濃度や再現性の問題があり、次年度以降に再検討することとした。また、L-CAはアストロサイトにおけるブドウ糖の取り込みを改善する可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究:ミニマル肝性脳症と診断された肝硬変例に対するCAの臨床効果を初年度に5例予定していたが、実際にはプロトコールに合致する症例が少なく、平成26年度に入り2例が登録されている状況である。しかし、新たに肝硬変例に対する精神神経機能検査を施行し、ミニマル肝性脳症と診断された例に対して、血清カルニチン動態、血清亜鉛、アンモニア、アミノ酸(BTR)の面より再度検討中であり、ミニマル肝性脳症の症例も順調に集まっている。 基礎的検討:正常ヒトアストロサイトにアンモニアを添加した際のメタボローム解析を行う予定であったが、至適アンモニア濃度あるいは測定時間を決定することができなかったため本年度は断念した。平成26年度施行の予定で実験の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究:①ミニマル肝性脳症と診断された肝硬変例に対するL-CAの臨床効果に対する評価を行うために必要な症例数を集める。②ミニマル肝性脳症と診断された例の特徴・病態をカルニチン動態を含めて検討し、論文化する。 基礎的検討:正常ヒトアストロサイトに添加するアンモニア濃度は5μmolとして、引き続き実験を行い、L-CA添加による影響を明らかにするとともに培養液も回収してメタボローム解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
基礎的検討において、当初予定されていた基礎的検討においてメタボローム解析を行わなかったため。 正常ヒトアストロサイトの培養実験条件、添加アンモニア濃度およびL-カルニチンの添加条件、測定時間などを決定したので、今年度(平成26年度)にメタボロ-ム解析を行う予定で実験を開始している。
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