研究課題/領域番号 |
25461013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
池上 正 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40439740)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 肝細胞癌 / 酸化ステロール / コレステロール代謝 |
研究概要 |
(1) 収集された検体のうち、血清の胆汁酸分画についてLC-MS/MSを用いた検討を行っている。酸化ステロールは胆汁酸合成の際の代謝産物ともいえる側面をもっており、胆汁酸合成についてこれら疾患について確認する事は重要であろうこと(以前までの検討では、合成、吸収のマーカーまでは測定していたが、実際の合成産物の分画を検討した)、さらに、近年の報告では、肥満モデルラットでの肝発癌に腸内細菌が関与しており、腸内細菌が変調を与えるファクターとして2次胆汁酸濃度の増加、さらにこれによる肝星細胞を介したSenecence Associated Secretory Phenotype (SASP)の発現が示唆されており、ヒトにおいても同様の変化がみられるかを検討した。 あくまで血清胆汁酸でのデータであるが、NASH患者においては健常対照群に比較して、①血清総胆汁酸濃度の上昇、②グリシン抱合体割合の増加、③ケノデオキシコール酸割合の増加がみられ、健常人と異なる腸内細菌叢の存在が示唆されたが、予測された2次胆汁酸(特にデオキシコール酸)の増加はみられなかった。これは種差によるものか、あるいは肥満そのものが与える影響なのか現段階では不明。 (2) SVR後発癌において、酸化ステロールの増加がリスクマーカーになりうるかどうかという本研究の主目的に対する情報を得るため、HCV感染患者の血清酸化ステロールレベルがIFN治療によりどう変化するかを検討した。3ヶ月のIFN投与により(治療中)特定の酸化ステロールの有意な低下が認められた。主にAutoxidationにより増加する酸化ステロールがこの主体と考えられ、IFN治療による酸化ストレスの減少が示唆された。治療終了後長期にわたりこの状態が持続する事が肝発癌リスク低下に結びつく可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NBNC肝癌、HCV治療後肝癌について症例の蓄積を開始し、血清サンプル、ならびに肝癌、背景肝組織についてプールを行っている。また、他施設(国立病院機構九州医療センター)にも依頼をして、同様のサンプルを集積している。酸化ステロールについては測定中のものも含め現在データを集積中である。また、マウスNASH発癌モデル(STAMマウス)の血清、組織サンプルについて、RNAの抽出、メタボローム用サンプルの調整を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
NBNC肝癌、SVR肝癌患者での血清酸化ステロールの増加が明らかになった場合、これをリスクマーカーとして考えるためには、非発癌例で実際に低下しているのかどうかが確認される必要があり、これらのサンプルについても追加を行い検討する。 今年度中にSTAMマウスサンプルの解析結果を総括する。
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次年度の研究費の使用計画 |
発表した学会がいずれも近隣(都内)で行われており、交通費、宿泊費などの必要がなかったこと。 LC-MS/MS解析に使用したカラムの交換が不要であった事。 上述したように、非発癌例やHCV治療後例でのサンプル測定追加が必要となり、これらの収集費用、解析に用いられる費用に当てる。
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