研究課題
ストレスが肝脂肪化に及ぼす影響を検討するため、拘束ストレスおよび中枢性CRFがが肥満糖尿病モデルマウス(ob/obマウス)に対する影響を検討したが、ストレス馴化と考えられる問題で、血清コルチコステロン濃度や脂肪化、炎症に関わるサイトカインの発現に有意な違いが得られなかった。このためストレスで活性化される交感神経系に対する影響を検討し、ob/obマウスに交感神経α受容体作動薬phenylephrine、β受容体作動薬isoproterenolをマウス背側皮下より持続注入し、高脂肪食を開始後4週間後に肝を取り出し組織学的に脂肪肝を評価した。phenylephrine群はcontrol群と差がなく肝脂肪沈着に著変なかったが、isoproterenol群では高脂肪食による肝脂肪沈着に増加傾向を認めた。交感神経β受容体作動薬が肝脂肪化を促進する可能性を認めた。肝よりRNAを採取し、マイクロアレイを用いて、Resolver gene expression data 分析システムで得られたdataを標準化し、その信号強度比が2log以上かつp値が0.01以下の遺伝子を抽出したところ、control群に比べisoproterenol群においてはミトコンドリアのβ酸化に関わるCPT1の発現に低下傾向を認め、Real Time PCRを用いて確認したところ、CPT1の発現がcontrol群に比べ、isoproterenol群において低下していた。一方肝炎症細胞浸潤に関わるTNF-α/NF-kBシグナル、肝線維化に関連するTGF-βシグナルに関連する遺伝子発現は有意な変動が認められなかった。肝脂肪化において、交感神経β受容体が刺激されると、β酸化の低下により肝脂肪沈着が増強される可能性が示唆された。
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