慢性の肝細胞障害に、微小循環障害がどのように関与するのかを検討した。フォン・ウィルブランド因子(vWF)、トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体、プロテインC、プロテインS抗原を測定したが、多くの凝固因子が連動して動いている症例は稀であり、生体内で凝固因子系の暴走に対する多重の制御機構の存在が示唆された。肝生検検体を用いたvWFの免疫染色は、肝組織中の類洞に特異的で、肝組織全体に観察された。肝疾患で高値を示すPAI-1は、同様に類洞が染色された。肝障害時には凝固亢進状態に陥っており、微小血栓が形成されやすい状況が存在し、一部の症例においてトロンビンが過剰産生されていることが明らかとなった。
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