研究課題
基盤研究(C)
近年、B型およびC型肝炎ウイルスが関与しない非B非C肝がん(NBNC-HCC)の患者数が著しく増加している。NBNC-HCCの危険因子は未だ明らかでなく、進行肝がんで発見されることから、新たな危険因子の同定は急務である。本年度、我々は、当院で診断された223名のNBNC-HCC患者(Case群)と、人間ドックを受診した176,886名からgenetic matchingにより選出された669名(Control群)を対象とし、データマイニングによりNBNC-HCCに関わる環境要因を網羅的に解析した。多変量解析の結果、NBNC-HCCに関連する独立危険因子として血清γGTP値(オッズ比 1.15; 95%CI 1.08-1.21; P<0.0001)、Brinkman index(オッズ比 1.17; 95%CI 1.05-1.30; P=0.0047)、および血清アルブミン値(オッズ比 0.67; 95%CI 0.60-0.70; P<0.0001)が同定された。ランダムフォレスト解析の結果、血清アルブミン値はCase群とControl群を最も識別しうる因子であった(98 variable importance)。決定木解析により、血清アルブミン値、血清γGTP値、Brinkman index、aspartate aminotransferase to platelet ratio indexの4因子にからなるNBNC-HCCのプロファイルが作成された。なかでも、血清アルブミン値は第一分岐の因子であり、4.01 g/dL以下の者の82.5%にNBNC-HCCを認めた。本年度、我々は、データマイニングにより血清アルブミン値がNBNC-HCCに関連する重要な因子であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は、非B非C肝がん(NBNC-HCC)の新規危険因子を網羅的解析により同定することである。今年度、我々は、当初の予定通り1)ロジスティック回帰分析、2)ランダムフォレスト法、3)決定木解析の3つの異なる解析を完了し、血清アルブミン値がNBNC-HCCに関連する重要な因子であることを明らかにした。現在、NBNC-HCC患者の遺伝子収集も同時に進行しており、これまでに15症例より検体を収集している。
現在、遺伝子解析のための検体も収集しており、今後は非B非C肝がんの発症に関わる宿主要因を検討する。研究が当初計画どおりに進まず、NBNC-HCCに関わる遺伝子変異が同定されない場合は、低頻度変異(マイナーアレル頻度)について解析する。また、今年度データマイニングにより同定した新規危険因子と肝発がんについて基礎的研究を行い、そのメカニズムを検討する。
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Hepatol Res.
巻: in press ページ: in press
10.1111/hepr.12192
The LIVER CANCER JOURNAL
巻: 5 ページ: 258-266