研究課題/領域番号 |
25461018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 教授 (60197986)
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研究分担者 |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助教 (30341332)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 講師 (90268855)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血管新生抑制療法 / 肝細胞癌 / マイクロRNA / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
肝細胞癌は腫瘍血管に富み血管新生抑制療法(分子標的治療)が有効である。しかし、肝硬変を合併しているために治療により重篤な副作用が高頻度に発生する。本研究は腫瘍内の血管内皮細胞に特異的に発現している血管新生の促進に関連するマイクロRNAを同定し血管新生抑制療法に利用することで非腫瘍部の血管形成は阻害せずに腫瘍局所でだけ血管新生を抑制し副作用なく抗腫瘍効果が得られることを目指している。 in vitroでの検討;ヌードマウスの皮下にヒト肝癌細胞株(HuH-7, HAK-1B, KYN-2)を接種し作製した腫瘍組織とマウス肝組織からCD31+CD45-の内皮細胞をセルソーターにて分離する。さらに、各々の内皮細胞をヘキスト33342で染色しサイドポピュレーションから内皮幹/前駆細胞を分離した。培養後これらの細胞が各々内皮細胞、内皮幹/前駆細胞であることを抗CD31抗体、抗CD34抗体, 抗CD133抗体を用いたFACSにて確認した。次にこれらの細胞からマイクロRNAを抽出した。次に、外科的切除で採取したヒト肝細胞癌組織と非癌部肝組織からマウスモデルと同様の方法で内皮細胞と内皮幹/前駆細胞を分離し、培養後これらの細胞が各々内皮細胞、内皮幹/前駆細胞であることを確認しマイクロRNAを抽出した。現在、抽出したRNAを用いてmicroRNAアレイにて腫瘍部由来の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞に特異的に発現するmicroRNAを同定中である。 in vivoでの検討;コリン欠乏アミノ酸食を投与しマウス肝硬変合併肝発癌モデルを作成中である。このモデルの完成には約1年間を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、in vitroの検討においてマウス肝癌モデルの腫瘍組織、正常肝組織、ヒト肝細胞癌組織及び非癌部肝組織から採取した血管内皮細胞、内皮幹/前駆細胞から抽出したマイクロRNAに対しマイクロRNAアレイで腫瘍部由来の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞に特異的に発現するmicroRNAを同定し、さらに同定したマイクロRNAに対する抗マイクロRNAを作成する予定であった。しかし、腫瘍組織や非癌部肝組織から内皮細胞や内皮幹/前駆細胞を分離する際にほかの細胞の混入が見られほぼ100%の純度で内皮細胞や内皮幹/前駆細胞を分離する技術の習得に時間がかかったため腫瘍部由来の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞に特異的に発現するマイクロRNAや抗マイクロRNAを作成することができなかった。一方、in vivoの研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に行う予定であった腫瘍部由来の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞に特異的に発現するマイクロRNAの同定と同定したマイクロRNAに対する抗マイクロRNAの作成を平成26年度早々に行い、平成26年度に予定していたコリン欠乏アミノ酸食投与マウスに発生した腫瘍内の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞および非癌部肝硬変組織の内皮細胞と内皮幹/前駆細胞からマイクロRNAを採取し腫瘍組織で特異的に発現するマイクロRNAを同定し、そこから内皮細胞等の増殖を抑制する抗マイクロRNAを作成する。さらに、作製した抗マイクロRNAが本当に腫瘍組織内だけの内皮細胞や内皮幹/前駆細胞の増殖を抑制することをin vitroで証明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費の支出額当初の予想を若干下回ったため繰越金が出ました。 平成26年度に繰越金は使用する予定です。
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