研究課題/領域番号 |
25461019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
是永 匡紹 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70420536)
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研究分担者 |
村田 一素 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40345971)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / ミトコンドリア障害 / 脂肪肝 / 鉄過剰 / 脾臓 |
研究概要 |
C57BL/6N(N)とC57BL/6J(J)を用いて以下の検討を行った。N(n=7)と J(n=8)に生後2ヶ月からControl食に維持食として使用されるAIN93M(Ferric citrate 210mg含有)と同量の鉄置換食(carbonyl iron)食を与え6ヶ月後、肝脾を摘出し組織学検討、肝脾内鉄濃度、中性脂肪、血清より肝機能、血糖値、hepcidin値や酸化ストレスに対する抗酸化能としてBAP/dROMを測定し解析した。また各群でマイクロアレイ解析を行い、異常発現に関してはreal-time PCR、一部はwestern blotにて確認した。AIN93M飼育においても、NはJに比べ有意差は認めないも肝体重比、肝内鉄濃度が上昇傾向、hepcidinが低下傾向を示し、肝脂肪化の増強と有意なALT上昇(159±89 vs 33±18IU/L),脾内鉄濃度低下(899±238 vs 1262±248ug/g spleen)を認め、脾臓内で処理される鉄が不十分であることが肝脂肪化増強、ALT上昇の一因になると推測された。この現象はcarbonyl iron負荷により著明となり、肝蔵内鉄濃度はAIN食に比べ上昇を認めないものの、Nは有意にJに比べALT上昇(502±30 vs138±68IU/L)と脾内鉄濃度低下(1321±421vs1783±92ug/g spleen)を認め、BAP/dROM低下(15±2.1vs 29±0.3)、肝体重比上昇(4.5±0.4 vs 4.0±0.4 %)より肝内での酸化ストレス亢進が示唆された。マイクロアレイ解析で、ミトコンドリアによる脂肪酸分解抑制、及び呼吸鎖複合体IV機能異常が抽出されたため、CPT1/2のwestern blotや複合体IV酵素活性やsubunitsをreal time PCRにて確認したところCPT1/2の発現低下によるβ酸化抑制、及び複合体IV活性低下、更に複合体IVのsubunitであるCoX7a2発現低下が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス研究では仮説通りの結果が得られており、sampleは充分に得られており、解析に耐えれると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討で、鉄過剰餌マウス(6NFe)は6か月目で肝脂肪化と肝内ROS産生亢進が観察され、ミトコンドリア機能障害が確認できる。この現象は6JFeでは極めて軽微であることも確認されている。C57BL/6NとC57BL/6Jは遺伝子背景に差がないとされているが、肝臓が抽出されたDNAにより、次世代シーケエンサーによりミトコンドリアゲノム解析を行い鉄代謝異常が誘導された原因を解析する。ゲノム解析で差異を認めなった場合には、次世代シーケエンサーによりメチレーション解析を行い、鉄過剰・酸化ストレスに伴う変化を検討する。
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