研究課題
本課題では、担がん個体の血液中に含まれる間質系前駆細胞を利用したがんの診断・モニタリングシステムを計画したが、むしろ血液中の核酸に直接その原因を見いだすことがより近道であると考えて計画の一部を変更した。平成27年度は、膵癌およびその前駆病変のひとつである膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)患者を対象とし、血漿中の変異型KRASの検出に関するプロトコール作成を行った。健常人の血漿中には160-180bp程度に断片化された遊離核酸(cell free DNA; cfDNA)が存在するが、担癌患者ではこれがやや高濃度に、また350bp以上のDNA断片も時に観察された。これらのDNA断片をデジタルPCRで増幅し、変異配列に対する特異性の高いプローブにより変異DNAを選択的に検出することを試みた。プローブの特異性を担保するためにLNAプローブを用いたところ、KRAS Exon2の増幅産物からcodon 12および13のhot spot変異を極めて高い精度で検出し、定量的しうる事が確認できた。また、IPMN患者では同様にGNAS遺伝子のcodon201変異も検出された。治癒切除が可能であった症例において、血漿cfDNAと原発巣FFPE材料から得られる遺伝子変異の解析結果が一致するかについて検証したが、KRAS(codon 12, 13)およびGNAS(codon 201)が血漿中に検出率は5割以下であった。技術的な問題点として、血漿検体におけるDNAコピー数が3,000 copy/mL程度と限られるため、デジタルPCRの検出限界での低コピー異常を検出するためには、採血量を増やすか、あるいはcfDNAの増幅などの工夫が必要と考えられた。
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Pancreas
巻: xx ページ: xx-xx
Pol J Pathol
Internal Medicine
http://www.higashi-tokushukai.or.jp/clinical_study/research/detail.php?pid=434583114140