研究課題
基盤研究(C)
近年小腸内視鏡技術が大変進歩し、想定されていたよりも多くの疾患が小腸で報告されていることを背景に、小腸腺癌の早期診断例も報告されるようになってきた。基礎研究のレベルでも腸管上皮幹細胞の特異的分子マーカーが同定され、この上皮幹細胞が腺腫・腺癌の発生過程に中心的役割を果たしていることが明らかになり、さらには腸管上皮幹細胞を体外に取り出して培養する技術も開発された。我々の研究室も培養技術開発グループの一つとして先進的な培養技術を確立している。本申請研究では、内視鏡技術・腸管上皮幹細胞に関する最新の細胞生物学的知見・腸管上皮幹培養技術を融合させ、小腸腺癌の自然史を把握し、その初期段階から進行癌に至る発育段階での細胞生物学的特性の全容を幹細胞レベルで明らかにし、小腸癌に対する有効な診断法・新規治療開発に役だて、さらにはこれらの結果を大腸癌と比較することを通じて、大腸には癌が多く小腸には少ない統計学的事実に対する合理的な結論を得ることを最終目標とし、それを通じて大腸癌の有効な予防法・新規治療法の提唱までを目的としている。本年度は研究計画に則り、小腸がん患者のリクルートを行った。倫理審査委員会の承認を得て、当院のデータベースより過去当院で小腸がん手術をされた患者を同定した。インフォームド・コンセントのもと、手術検体による網羅的遺伝子解析に着手している。
2: おおむね順調に進展している
本年度の成果により、小腸がん患者の手術検体を用いた解析が可能となり、網羅的遺伝子解析による疾患特異的な遺伝子変異を同定する予定としている。またバルーン内視鏡およびカプセル内視鏡を施行する環境を整え、検査施行件数は両者とも飛躍的に増加していることからもより早期に小腸がんを発見できる基盤を構築できていることから、今年度の目標はおおむね達成できたと考える。
来年度は、同意の得られた患者の手術検体から癌部、非癌部のDNAを抽出し、網羅的遺伝子解析を次世代シークエンサーにて行う予定である。さらに小腸がんの早期発見に務め、内視鏡生検検体から小腸がん初代培養を構築することを予定している。
試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
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