研究課題
過敏性腸症候群の客観的評価に向けて前年から続けてカプセル内視鏡の消化管通過に関係する因子を調べ、器質的狭窄は影響を受けるが、消化管運動障害は顕著な影響は受けなかったことを証明した (Nakamura M, et al. The Clinical Usefulness of the Novel Tag-Less Agile Patency Capsule Prior to Capsule Endoscopy for the Patients with Suspected Small Bowel Stenosis. Digestive Endoscopy 2015年1月掲載)。また、前向き臨床観察研究である「大腸用カプセル内視鏡における全大腸観察を達成するために重要な因子の前向き研究」を名古屋大学医学部生命倫理審査委員会に申請し承認を得た。本研究では2014年1月に臨床に導入された大腸カプセル内視鏡を行う患者において、カプセル内視鏡の通過に影響する背景(腹部手術歴、糖尿病など)に加え、検査中の生活動作の程度を図るため歩数計を装着し、歩行や食事などの活動が消化管運動にどう影響するかカプセル内視鏡の通過を指標に多因子を用いた解析で調べることとした。昨今、腸内細菌叢が消化管運動の不安定性、過敏性腸症候群に影響を与えているとの報告が散見されているため、また過敏性腸症候群の栄養評価についても過敏性腸症候群を多角的に評価するには患者のそれらをも調べる必要があることがわかってきた。同患者の腸内細菌と栄養パターンについて基礎的解析を行うことにより過敏性腸症候群に特徴的なパターン、さらには下痢や便秘で異なるパターンを保有するかどうかを調べる。この研究は名古屋大学医学部生命倫理審査委員会に申請する。
3: やや遅れている
小腸カプセル内視鏡システムが途中でバージョンアップし、旧タイプと新タイプの機種で施行した検査をひとまとまりにして解析するにはバイアスがあるためタイプを統一するためのタイミングを待ったため、研究はやや遅れている。大腸カプセル内視鏡が導入され大腸に関する検討も必要になった。大腸カプセル内視鏡を購入し新規に検討する。
前向き臨床観察研究である「大腸用カプセル内視鏡における全大腸観察を達成するために重要な因子の前向き研究」で、過敏性腸症候群を含む大腸カプセル内視鏡を行う患者のリクルートを続ける。名古屋大学医学部附属病院の掲示板で案内し参加者をリクルートする。また外来に受診する患者に案内する。施行した患者の大腸カプセル内視鏡を読影し、臨床カルテ上からカプセル内視鏡の通過に影響する背景(腹部手術歴、糖尿病など)と、検査中の歩数を確認する。カプセル内視鏡の画像解析により過敏性腸症候群の消化管運動パターンを既報のごとく下痢型、便秘型などに分類する。以前の解析方法が正しいか実証する。以上の情報を基に歩行や食事などの活動が消化管運動にどう影響するか、またカプセル内視鏡の通過を指標に多因子を用いた解析で調べる。過敏性腸症候群では自覚症状も重要であるため検査や症状に関するアンケートも実施する。過敏性腸症候群を多角的に評価するため同患者の腸内細菌と栄養パターンについて基礎的解析を行うことにより過敏性腸症候群に特徴的なパターン、さらには下痢や便秘で異なるパターンを保有するかどうかを調べる。内視鏡生検により得られた粘膜の栄養バイオマーカーを解析し他の疾患群とその量や分布につき比較検討する。この研究は名古屋大学医学部生命倫理審査委員会に申請する。
25、26年度にカプセル内視鏡の購入を予定していたが、バージョンアップし、大腸用のものまでが導入されたため研究計画を変更する必要が生じている。
今年度に研究計画が修正できればカプセル内視鏡を購入する。できなければ腸内細菌叢もしくは栄養解析の費用にする。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Digestive Endoscopy
巻: 27 ページ: 61-66
10.1111/den.12306