研究課題
本研究では、潰瘍性大腸炎を背景に生じてくる大腸癌をターゲットとした分子イメージング法の開発に取り組んだ。まず、大腸前癌病変であるAberrant crypt fociをサンプリングし、RNA抽出を行いTaqman-PCRを行ったところ、EGFRをはじめとする合計8分子で発現が高まっていることが確認された。そこで蛍光標識EGFR抗体を用いて大腸癌の各細胞株に対して生細胞での分子イメージングを行った。大腸癌細胞における蛍光強度はEGFR発現と有意に相関がみられた。続いて担癌ヌードマウスを作製し、in vivoイメージングを行ったところ、EGFR発現の高い腫瘍では蛍光が明瞭に観察され、低い腫瘍では観察されなかった。これらの結果をもとにアゾキシメタン誘発ラット大腸癌モデルを用いて内視鏡分子イメージングの可能性を検討した。合計12匹のF344ラットにアゾキシメタン投与を行い、6か月後に腫瘍性病変の発育を確認した。病変を摘出し病理組織学的に検討したところ、high grade dysplasiaの像が確認された。これらの結果をもとに管腔内での評価を目的として小動物用内視鏡に蛍光フィルターを挿入し、分子イメージング内視鏡を作製した。本機器を用いてアゾキシメタン投与ラットモデルに内視鏡検査を全身麻酔下に行ったところ、強い蛍光を発する病変が確認された。同病変を回収し免疫染色に供したところEGFRの発現が確認された。以上より小動物を用い大腸癌のバイオマーカーであるEGFRをターゲットとした内視鏡分子イメージングは可能であることが示された。
すべて 2015
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Clin Endosc
巻: 48 ページ: 461-463