研究課題
基盤研究(C)
本研究では、膵疾患に対して、超音波内視鏡を用いた診断・治療法を開発し、その有用性を検討することを目的としている。平成25年度は、ファントムモデルおよび犬を用いた前臨床研究と膵疾患症例における臨床研究を並行して行った。前臨床研究では、超音波内視鏡下胆道ドレナージに使用されるステントの安定性とステント材質・形状の関連性を検討したところ、ラジアルフォースとフレアの形状がステント移動を防ぐために重要は因子であることが証明された。臨床研究では、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対して、6ヶ月間隔で超音波内視鏡による経過観察を行ったところ、経過観察中に102例中7例(7%)の膵癌が発見された。また、発見時に他の画像診断と比較すると超音波内視鏡が最も高感度に膵癌を検出していることが分かった(Endoscopy 2014;46:22-29)。胆膵領域の癌およびリンパ節転移が疑われた55例に対して、造影超音波内視鏡検査を施行したところ、不均一な染影がリンパ節転移を示唆する所見であることが判明し、その感度および特異度はそれぞれ90%および95%であった。ERCPによる治療が不能であった118例の閉塞性黄疸症例において超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージ術あるいは超音波内視鏡ガイド下胆嚢ドレナージ術を行ったところ、両治療による手技成功率、臨床的改善率、偶発症発生率には有意差がなく、同等であることが判明した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、前臨床研究と臨床研究を並行して実施している。平成25年度は、両研究ともに成果が得られ、逐次、学会および論文にて発表を行っている。
平成26年度も前年度と同様、前臨床研究と臨床研究を並行して行っていく。前臨床研究では新規治療法をさらに開発することを目的とする。また、前臨床研究で確立された検査および治療法を臨床応用し、その成績を評価していく。
3月下旬に論文別刷費の請求があったが、不足していたため、次年度分と合わせて、支払うこととなった。論文別刷り代を次年度予算と合わせて支払う予定
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
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