研究課題
本研究の目的は、先進的な放射線画像診断および侵襲的血行動態検査を行い、右室心筋代謝、右室肺血管の力学的特性、肺循環の形態・機能の観点から肺高血圧の右心不全の病態を解明し、肺高血圧患者の予後改善に寄与することである。研究は脂肪酸シンチグラムとFDG-PETによる右室脂質・糖代謝の評価、圧流量ワイヤーによる肺動脈インプットインピーダンスの測定、3次元フェーズコントラスト法による肺血流のベクトル解析の3点からなる。研究1に関連し、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者27名の右室自由壁FDG取り込み亢進と予後の悪化が関連していることを Eur Heart J Cardiovasc Imaging 誌に論文報告した。平24年度、FDG-PETを肺動脈性肺高血圧症患者に18件、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者に28件施行した。BMIPPシンチはそれぞれ19件、21件であった。また慢性肺血栓塞栓性肺高血圧患者では、糖代謝や栄養などの全身代謝障害が存在していることを見出し、米国胸部学会、欧州心臓病学会および米国心臓病学会で報告した。 研究3は当院放射線科 大田助教との共同研究として行われている。肺動脈バルーン形成術を施行した慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者では、主肺動脈の渦流が縮小したことをEur Heart J誌へ症例報告した。H26年度、MRIによる4D flow解析を、肺動脈性肺高血圧患者20件、慢性血栓塞栓性肺高血圧患者50件、施行した。
2: おおむね順調に進展している
研究対象となる肺動脈性肺高血圧症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者は、当研究機関が脳死肺移植の認定施設である大学病院であるため、紹介が多い。
引き続き、積極的に対象患者のリクルート活動を関連施設に働きかける。また学会、研究会、論文作成も積極的に行い、認識を高める努力を行う。紹介された患者に関しては、フォローアップデータの取り忘れないように共同研究者、他科医師、照会先などとの連絡を密にしてゆく。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (5件)
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