研究課題
本研究の目的は、先進的な放射線画像診断および侵襲的血行動態検査を行い、右室心筋代謝、右室肺血管の力学的特性、肺循環の形態・機能の観点から肺高血圧の右心不全の病態を解明し、肺高血圧患者の予後改善に寄与することである。研究は脂肪酸シンチグラムとFDG-PETによる右室脂質・糖代謝の評価、圧流量ワイヤーによる肺動脈インプットインピーダンスの測定、3次元フェーズコントラスト法による肺血流のベクトル解析の3点からなる。研究1に関連し、肺動脈性肺高血圧症と慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者27名の右室自由壁FDG取り込み亢進と予後悪化が関連していることを Eur Heart J Cardiovasc Imaging 誌に論文報告した。平25年度、FDGPETを肺動脈性肺高血圧症患者に18件、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者に28件施行した。BMIPPシンチはそれぞれ19件、21件であった。また慢性肺血栓塞栓性肺高血圧患者では、糖代謝や栄養などの全身代謝障害が存在していることを見出し、欧州心臓病学会および米国心臓病学会で報告した。平成27年度、それらをまとめ研究代表者 建部らがCirculation Journal誌へ論文報告した。PET, BMIPPシンチの解析は現在、進行中でまとまり次第、論文報告の予定である。研究3は当院放射線科 大田助教との共同研究として行われている。肺動脈バルーン形成術を施行した慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者では、主肺動脈の渦流が縮小したことをEur Heart J誌へ症例報告した。平成26年度、MRIによる4D flow解析を、肺動脈性肺高血圧患者20件、慢性血栓塞栓性肺高血圧患者50件、施行した。平成27年度、慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者での2DFlow解析を行い、肺動脈バルーン形成術が両心室機能の改善をもたらすことを当科大学院生 佐藤らがCirculation Journal誌へ報告した。4D flowは現在、解析中であり、結果をまとめて論文報告の予定である。
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Circulation Journal
巻: 80 ページ: 980-988
10.1253/circj.CJ-15-1212