研究課題
検討-Iとして、「末梢血・左心房血の自律神経機能・炎症・凝固能の差異を明らかにする」ことを掲げた。100例の心房細動患者で末梢血・左心房血の同時採血を行い、①D-dimer陽性率が、左心房で有意に高率であること、②D-dimer値が左心房で高いこと、③左心房D-dimer陽性の規定因子は、左心房容量であることを確認した。④抗凝固薬コントロールにより、左心房D-dimer陽性率が低下する(23%⇒3.7%)ことも確認した。検討-IIとして、「自律神経節アブレーションが、心臓自律神経機能に及ぼす影響を明らかにする」ことを目標にした。20例の心房細動患者で、自律神経節アブレーション前後の心臓MIBG検査を施行したが、自律神経節アブレーションにより心臓MIBGの値は変化しなかった。検討-IIIとして、「自律神経節アブレーションの早期再発とβ遮断薬の有効性について検討」した。連続50例において、アブレーション後にプラセボ群(n=25)とβ遮断薬使用群(n=25)に割り振り、β遮断薬(ランジオロール)が早期再発を減らすことを確認できた。検討-IVとして「自律神経節アブレーションを長期に経過観察し、心房細動再発の予測因子を調査する」ことを目標にしている。長期予後を確認するため術後も定期的に観察中である。またMIBGの値の変化が長期予後と関連するかも経過観察の予定である。
2: おおむね順調に進展している
検討I~IVを目標に掲げている。検討Iは、英文論文でアクセプトされた。検討IIは、日本語の論文で投稿中である。検討IIIは、英文論文でアクセプトされた。検討IVは継続中である。
検討Iの論文を元に、新規経口抗凝固薬と左心房の凝固機能の関連を検討中である。検討IVは、長期予後に関する検討であるため、さらに1-2年を要すると予測している。
自律神経節アブレーション前後のMIBGシンチグラムで、有意な研究結果が出ない印象であり、アブレーションの直接的な影響を確認するMIBGの研究(治療前後の2回のMIBGシンチグラムを施行する研究)は現在行っていない。MIBGシンチグラム1回の場合は、保険診療内で検査を施行できる症例も存在するため、MIBG検査の施行回数が見積もりよりも少なくなっている。
自律神経節アブレーション後のMIBG検査は引き続き行い、長期予後について検討を継続していく。左心房採血の検体は冷凍保存してあるため、左心房機能・リモデリング・凝固機能と炎症や内皮機能の関連性について血液マーカー測定を予定している。
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Circ J
巻: 79 ページ: 61-69
10.1253/circj.CJ-14-0630. Epub 2014 Nov 11.