心不全において心筋細胞の収縮力低下の主因にカルシウム過負荷が考えられているが、患者さんの心臓で直接カルシウム過負荷を示す方法はない。我々はカルシウム過負荷の定義を「筋小胞体内のカルシウム含量が多くなり、心拍間の時間が短いときに放出できる許容量を超え、収縮効率が低下した状態」とした。実際、心房ペーシングで心拍数をあげて、左室収縮力を心臓カテーテル検査で測り、心不全患者さんでは、本来増強すべき左室収縮力の増強程度が小さい一方、ペーシングをやめて心拍間時間が長くなると有意に大きな収縮力増強効果が得られた。その他の結果も合わせ、心不全でカルシウム過負荷が示唆された。
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