研究課題
現在までに報告された、糖尿病(DM)・メタボリック症候群(Mets)など,心血管疾患(CVD)に至る生活習慣病の発症と、特定の遺伝型により環境要因の影響が異なる様々な組み合わせの遺伝子環境相互作用の知見を基に、今回我々は若年企業労働男性での相互作用機序の解明と予後解析を行った。本研究の背景としては、既に蓄積された強力な医工連携・産学連携の成果を基に、大企業が持つ貴重な労働者の健診データ、及び喫煙・食事嗜好・運動習慣を含んだ環境因子の情報から、生活習慣病の発症リスクや進展といった予後に関するデータを解析・解明することにより、健康診断を遺伝情報に基づくオーダーメイド医療へ飛躍的に発展させる土台を作るものである。本研究の成果として、血小板活性やインスリン抵抗性亢進、脂質代謝異常、活性酸素蓄積、体脂肪率増加等に関する8個の単塩基遺伝子(SNP)異常と環境因子との関連を同定するとともに、特にメタボリック症候群と有意な関連を持つ5個のSNPを確認した。更に多重ロジスチィック回帰分析を含む詳細な検討を重ねた結果、SNP:rs7965413を持つ個体では、血小板数上昇がメタボリック症候群発症の有意なリスクマーカーとなる新知見を発見した。このような個人の遺伝子情報と環境因子解析から、生活習慣関連疾患の新たなリスクを発見し、各個人の生活習慣や食生活、運動習慣等の改善・変更により疾患発症を抑えることが出来れば、真の意味でのオーダーメイド健康診断とそれに基づく疾患予防が確立する。今後、対象疾患を更に拡大するとともに、多くの遺伝情報・環境因子情報の解析が進めば、日本人に特化したデータベースが出来、多くの生活習慣関連疾患の予防に役立つと考える、本研究はその先鞭として道筋を付けることができた、非常に意義ある研究成果を得たと考える。これらにつき、英語論文や関連学会での発表を行った。
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